アジア石油製品=5月5~9日:0.001%S軽油上昇、スポット販売少なく
ガソリン 基調は強く、シンガポールの在庫減少で 北東アジアのノンオキシー品市況は横ばい。ただし、ガソリン需要期に近づいており、基調は堅い。市場関係者は「シンガポールのガソリン在庫が減少しているとあり、需給引き締まり感がにわかに台頭している」と指摘した。スポット市場では、台湾勢が6月積みカーゴの商いに動き始めた。台湾中油(CPC)は7日締めとして、6月積み95RONガソリン(MR船型)の販売入札を実施した。フォルモサ石油化学(FPCC)も6月積みの輸出余力がありそうで、現在、販売計画を作成中とみられる。同社は2025年6月~26年5月積みとして92RONガソリン(0.001%S)の販売入札を実施。応札価格の有効期限は今月23日となっている。 日本のENEOSは5月後半着として、MR船型で複数カーゴ調達した。川崎製油所(日量24万9,100バレル)や水島製油所B工場(同20万200バレル)で起きた装置トラブルが要因という。
ナフサ 上昇、欧州からのアーブ減少の公算 6月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は上昇。市場関係者は、ガソリン需要期を前に、基材としてナフサ需要が高まると意識されている、とみている。 また、ナイジェリアのダンゴテ製油所が、二次装置不調によりガソリンの生産を順調に進められていないため、欧州からアフリカ向けのガソリンの生産が活発になっているとの見方もある。これにより欧州のナフサ需要が支えられ、アジアへのアーブ数量を抑えている可能性もあるようだ。 韓国のGSカルテックスは8日締めの入札で、6月後半着ヘビーフルレンジナフサを計5カーゴ購入した。価格はCFRベースで日本市況に対し、アルジェリアのスキクダ出しカーゴが10ドル台後半のプレミアム、Cグレードのカーゴが15ドル前後のプレミアム、オマーンのドュクム出しカーゴが7.75ドルのプレミアムだった。欧州からのアーブが減る見通しとあり、重質ナフサのプレミアムが拡大した格好。
中間留分 FPCC、6月下旬積み軽油(75万バレル)を販売 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は上昇。このところの原油安やジェット燃料の深いディスカウントなどを背景に値ごろ感が浮上している。また、アジアから米西海岸向けのアービトラージが開いていることも強材料として寄与した。台湾では販売入札を通してフォルモサ石油化学(FPCC)が6月1~5日積みMR船型1カーゴを販売し割高で成約された。買い手となったトレーダーはターム供給分と今回落札したカーゴを相積みにして豪州などに持ち込む可能性が指摘された。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は小幅上昇。供給の引き締まりを受けた。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は8日、6月21~25日積み0.001%S軽油75万バレルを販売。FOBベースでシンガポール市況対比5セントのディスカウントで成約した。北東アジアからの6月積み販売の動きは限られている。韓国の石油会社による6月積み品を対象とした入札などは出ていない。日本の元売りは製油所の定期修理が相次ぐことから、売り意欲少なく、今のところ相場は堅調に推移している。 5月1日に、地中海が新たに排出規制海域(ECA)に指定された。ECAに指定された地域では硫黄分0.1%以下の軽油(LSMGO)を使用する必要がある。ただ、ECA指定に伴う需給引き締まりといった影響は今のところ現れていないようだ。
重油 韓国積み0.5%S市況上昇、シンガポールで在庫薄く 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は強含んだ。域外品の流入が減り、品薄感が強まっている。シンガポール市場では在庫が極めて低く、6月積みの売唱えはFOBベースで同市況対比12.00ドル超のプレミアムが聞かれる。割高感から需要家の買い控えがみられるという。このところ低硫黄重油の精製マージンが好転していることもあり、一部の北東アジア石油会社は生産を増やして需要を賄う方針に切り替えている。
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