アジア石油製品=5月12~16日:供給引き締まり、日本積み3.5%S重油相場は上昇
ガソリン ペメックスの買い気後退を弱材料視 北東アジアのノンオキシー品市況は横ばい。市場では、メキシコ国営石油会社(ペメックス)の買い気後退が弱気材料として指摘された。ペメックスはMR船型として、4月積みを8~10カーゴ、5月積みを4~5カーゴ購入して以降、「アジア市場から姿を消している」(市場関係者)。また、ガソリンの主要な輸入国のインドネシアの政府がシンガポールからの輸入を減らし、米国や中東玉の調達を増やすと発言しており、注目を集めている。市場関係者は「フレートの観点から米国品の調達は現実的でないように思える」との見方を示した。
ナフサ インドネシア、新規設備近く立ち上げへ 7月前半日本着オープンスペック・ナフサの商いが本格化。中国の需要家による買い気が後退するとの見方が重石となり、6月後半着市況に比べて弱含んでいるとの見方が優勢。ただ、一部の市場関係者は「アジア域内の需要はある程度はある」と指摘しており、下げ一辺倒の雰囲気も現状では見られないようだ。韓国のLG化学は入札を通して6月後半および7月後半着カーゴをそれぞれ1カーゴ購入。また、日本の三菱ケミカルが7月前半着オープンスペックの買い付け入札を実施した。 装置関連で、韓国の石化メーカー1社は、年初来ナフサクラッカーの稼働率を90%としていたが、6月から85%に引き下げる計画のようだ。誘導品であるポリエチレンの販売が振るわず、エチレンでの販売数量の増加も見込みにくいため。東南アジアでは、ロッテケミカル・インドネシアが来週にも新規エチレン設備の立ち上げを予定しているもよう。一方、マレーシアのペンゲラン石油精製・石油化学(PRefChem)のエチレン設備の再開時期は6月中旬に延期されそうだ、と複数の市場関係者が伝えた。これまで5月中に再開するとみられていた。
中間留分 10ppm軽油は軟化、売り圧力強く 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は上昇。北東アジア出し6月前半積みの売り物が限られるため、ショートカバー目的として6月上中旬積み品への買い気が強まった。中国の栄盛石化が6月5~7日積みMR船型1カーゴを販売した。韓国ではSKエナジーが6月積みとして複数スポットカーゴを有しており、現在個別商談に動いている。GSカルテックスも6月9~13日、20~24日積みの各MR船型計2カーゴを販売。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化。売り圧力の高まりが相場を押し下げた。アジア域内の供給増加観測を受けた。韓国の一部石油会社によると、中東から0.001%S軽油のカーゴがアジア向けに流入しており、相場の上値は重い。 韓国積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場は堅調。ベトナムの需要が強まるなか、韓国品への買い付けが強まっているようだ。韓国とベトナムの間ではベトナム・韓国自由貿易協定(VKFTA)が発効されており、関税優遇政策が取られている。このため、韓国の石油会社はベトナム向け輸出に優位性がある。
重油 供給が引き締まり、日本積み3.5%S重油相場は上昇 日本積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は上昇。シンガポール在庫が低下しているなか、域内の供給に引き締まり感が広がっている。中東でこれから発電燃料の需要期に入るため、アジア向けの供給が減少する見通し。また、ガソリンの需要期でアジアの石油会社は残渣油流動接触分解装置(RFCC)などの稼働を引き上げており、重油の生産が減っているとみられる。
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