アジア石油製品=5月19~23日:ガソリンや中間留分が軟化、生産増加を受け
ガソリン 台湾積み下落、生産増とフレート高が重石 台湾積み93RONガソリン(MR船型)の相場は下落した。生産増加の観測とフレートの上昇が重石となった。ガソリンや中間留分の精製マージンが好調なため、製油所の原油処理量が増加するとの見方が浮上。北東アジアや米国で製油所の定期修理シーズンが5月で終了する予定だ。 台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は2025年6月~26年5月積みガソリンの販売ターム契約の交渉を実施。FOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し、2ドル台中盤のプレミアムで決着したと伝えられた。対象は92RON。 インドネシア国営プルタミナも20日締めで、25年7~12月の調達ターム契約の入札を実施した。対象は90RONと92RON。応札価格の有効期限は30日に設定されている。
ナフサ ヘビーの相場重く、芳香族市況軟調で 7月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は下落した。需要減少の見通しが台頭した。日本の丸善石油化学は20日締めの入札で、7月6~15日着オープンスペック2万5,000トンをCFRベースで同5月23~31日市況に対し、5ドル台中盤のプレミアムで購入した。 エチレン市況が弱まる兆しが見られる。日本積みの販売数量が多いほか、中国でエタンやメタノールを使用するエチレン設備の稼働を引き上げたことで中国国内のエチレン相場が切り下がったと伝えられた。中国は国内の製油所の定期修理シーズンも終わりに近づいており、ナフサの輸入意欲が下押される可能性が浮上している。 7月前半日本着ヘビー・ナフサの市況連動相場は変わらず。芳香族製品を生産する経済性に乏しく、ヘビーの需要は盛り上がりを欠いている。ベンゼンはアジアから米国へのアービトラージが閉じており、販売が難しいようだ。高オクタン価ガソリンの相場が伸び悩んでおり、基材となるトルエンの需要も弱いままと指摘された。必要分の水素を得られる程度の稼働率に抑えているリフォーマー(接触改質装置)も見られる。 タイのIRPCは21日、入札を通じて、6月26日~7月13日ラヨン積みMR船型をFOBベースで同6月市況に対し、15ドル前後のプレミアムで販売した。
中間留分 0.05%S軽油相場、ジェット燃料越えが続く 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は軟化。供給増を受けた。中国石油天然気(ペトロチャイナ)は6月の販売量の計画を、5月よりもやや多い90万トンに設定したもよう。このところの好調なクラックマージンを背景に、輸出に積極的な姿勢を示している。韓国では石油会社、トレーダーが6月積み品を有しており、今後売りに動く方針だ。日本勢も売りを検討しているとの指摘がある。大手石油会社から西日本積みで少なくともMR船型1カーゴを販売する見通し。 こうしたなか、韓国のSKエナジーは20日、6月22~24日積みMR船型1カーゴを個別交渉で販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況対比80セントのディスカウントだった。 北東アジア積み軽油(MR船型)の市況連動相場は0.001%S、0.05%Sともに全面安。供給増加による売り圧力の高まりを受けた。精製マージンが好調とあり、生産が増加しているとみらる。シンガポール積み0.05%S軽油の固定価格はジェット燃料に比べて50セント以上高い状態となっている。 SKエナジーは、6月下旬積み0.001%S(MR船型)をFOBベースでシンガポール市況比60~70セントのディスカウントで販売した。
重油 韓国積み0.5%S市況堅調、中東やアフリカ玉少なく 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は持ち合った。ただし、シンガポール市場での供給引き締まり感から、相場は堅調な様子だ。シンガポールではブレンディング用の基材が不足している。 中東では夏場の発電用の需要期に近づいていることから、このところクウェート石油によるアルズール製油所(日量61万5,000バレル)出し0.5%S重油の売りも聞かれない。既報のとおり、ナイジェリアのダンゴテ製油所(日量65万バレル)では当初、6月に二次装置の定修を予定していたが、ここにきて計画を変更。今後、同製油所からも重油輸出が減少しそうとの指摘が聞かれる。
|
|