アジア石油製品=7月7~11日:ナフサ、米国カーゴ増が重石に
ガソリン ペトロチャイナ、FPCCが8月下旬積みを販売 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は軟化。仕向け先であるシンガポールを中心とする東南アジアの需給に引き締まり感がない。シンガポールでは製油所の不具合が特に聞かれず、稼働率が上げ基調だ。また需要地のひとつの豪州やニュージーランドといった南半球は冬場の不需要期に入っており、弱気材料となった。中国石油天然気(ペトロチャイナ)は8月下旬日本積み92RONガソリン(MR船型)を販売した。また、台湾ではフォルモサ石油化学(FPCC)が入札を通じて8月下旬積み92RONガソリン(LR1船型)を販売した。一方、台湾中油(CPC)からの売りは聞かれず。同社の大林製油所(日量35万バレル)で現在、残渣油流動接触分解装置(RFCC、同8万バレル)が不具合により停止している。17日の再稼働を目指している。この装置トラブルが一因となり、7月上旬着カーゴを緊急調達済みと伝えられた。
ナフサ 米国カーゴ増が重石 8月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は変わらず。ただ、米国からアジアへのアーブ数量が重質、軽質ともに多いとの情報が寄せられている。米国では蒸気圧規制の影響で、気温の上昇に伴いタンクに貯蔵できる軽質ナフサの量が低下傾向にあるという。需要面では、日本では石化1社が装置の稼働を抑えており、スポット調達の必要がないという。また、受け渡しされるナフサの比重が昨年に比べて重たいとの情報も聞かれた。市場関係者は「北半球は夏場のガソリン需要期にもかかわらず、基材としてのナフサ需要が弱そうだ」と述べた。市場関係者は今後の注目点として、中国勢がナフサやLPG、エタンのうち、どの原料を優先的に輸入および使用するかを挙げた。
中間留分 軽油が上昇、日本勢が8月上旬積みを販売 北東アジア積みのジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は上昇。軽油の高クラックを背景に石油各社は得率を軽油リッチに切り替えており、ジェットの供給量は減少傾向。また、製油所不調から買いに転じる石油会社もおり、需給は引き締まっている。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)が4日締めの入札を通して8月10~14日積みの30万バレル1カーゴを販売した。一方、台湾中油(CPC)は7日に8月1~10日着30万バレルを対象に買い付け入札を実施した。 北東アジア積みの0.001%S軽油(同)の市況連動相場も上昇した。日本の一部石油会社が、8月上旬積みのMR船型1カーゴを販売した。これ以外の8月積みは台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)の販売しか今のところ見られないため、供給量が限定されている。アジアから欧州向けの需要が増加。猛暑の影響でディーゼル車の軽油消費量が増加する一方、製油所のトラブルも相次ぎ需給が逼迫しやすい。ただ、紅海ではフーシ派が船舶を攻撃するなど情勢が安定しないため、中東やインド品のカーゴは紅海を回避し、喜望峰周りのルートを取っている。このため、欧州へのカーゴの到着が遅れている。
重油 台湾から売りが継続 韓国積み0.5%S重油(SR船型)の市況連動相場は変わらず。ただし、供給増の見通しが広がり、相場に下押し圧力が強まっている。ガソリンに比べて0.5%S重油の生産に採算性が見込まれ、石油会社が0.5%S重油の生産を増やす可能性が指摘される。スポットの取引では、台湾から売りが続いている。台湾中油(CPC)は7月21~25日積みとして低硫黄ストレートラン重油(0.5%S以下)MR船型の販売入札を締め切った。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)も入札を通じて8月7~9日積みの1.5%S重油(MCB)MR船型を販売した。
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