アジア石油製品=8月4~8日:0.05%S軽油は下落、需要減退を受け
ガソリン 日本1社、9月積み1カーゴを調達予定 韓国積み91RONガソリン(MR船型)は横ばいとなった。韓国の石油会社は現在、9月積みの石油製品の販売計画を作成中とみられる。一方で台湾では台湾中油(CPC)が9月下旬ごろから定期修理を予定しているとあり、輸出余力は限られそうだ。スポット市場では、日本の石油1社が9月積みとしてMR船型1カーゴの調達を予定しているとの情報が寄せられた。また、既報のとおり、中国海洋石油(CNOOC)が9月上旬海南積みとして92RONガソリン1万2,000トンの販売に出ている。 韓国積み91RONガソリン(SR船型)の市況連動相場は上昇した。主な持ち込み先の日本の需要が強い。加えて、韓国の石油会社はすでにターム販売契約を結んでいたり、装置の修繕作業を予定していたりするため、スポット市場で販売可能な数量自体少ないとみられる。
ナフサ 軟化、不具合と生産調整で需要減 9月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は下落。足元でナフサクラッカーの短期的な不具合や生産調整が浮上し、相場はやや弱気に振れている。インドネシアのロッテケミカルインドネシアのナフサクラッカーが7日に稼働を停止。市場関係者は今回の不具合で同社は9月後半着の買いを控える可能性があるとみている。韓国ではYNCCが事前計画どおり、採算性見合いで第3ナフサクラッカーの稼働を停止。稼働中の2基の稼働は引き上げるものの、全体の生産量は低下する見通し。 装置関連で、台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は6月中旬から、第2ナフサクラッカー(エチレン年産103万5,000万トン)の定期修理を実施している。期間は8月25日まで。FPCCは同クラッカー再開後、第1クラッカー(同70万トン)の稼働を停止し、稼働継続中の第3クラッカー(同120万トン)との2基運用体制を続ける構え。ナフサクラッカーの平均稼働率自体は変わらないとみられ、ナフサ市況への影響は小さそうだ。
中間留分 0.05%S軽油は下落、需要減退を受け 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は変わらず。台湾の石油会社による9月積みカーゴのスポット販売はない見通し。フォルモサ石油化学(FPCC)は9月、麦寮製油所(同54万バレル)において残渣油流動接触分解装置(RFCC、日量7万6,000バレル)の定期修理を予定している。これに伴い、製油所の稼働を落とすためジェット燃料の供給余力がない。また、既報のとおり台湾中油(CPC)も定期修理を背景に9月積み品として少なくともMR船型1カーゴの調達を予定。来週には実際の調達に動くという。 北東アジア積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落。需要減退に伴う売り圧力の高まりを受けた。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は入札を通じて9月15~19日積み0.05%S軽油のMR船型カーゴを販売した。相場は軟化傾向。需要の弱さを指摘する声があがる。北東アジアからの0.05%S軽油カーゴの主要な向け先であるベトナムでは、雨季の真っ只中。軽油の需要が減少しており買い気が弱まっているとの指摘がある。また、ベトナム国内の港の混雑も買い気を鈍らせた。 欧州連合が、ロシアのロスネフチが一部株式を保有するナヤラエナジーの石油製品を制裁対象としたため、他のインド石油会社の石油製品も欧州に向けられにくくなっているという。米国がロシア産原油を多く購入するインドを非難し、同国への関税を高水準に設定したことも影響した。今後、インド品が欧州ではなくアフリカやアジア方面に流入する可能性が高まっており、アジアの需給の緩みを引き起こすとの見通しも寄せられた。
重油 日本から買いが浮上 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は横ばい。ただし、域内供給の潤沢感が払拭されず、相場は引き続き軟調だ。韓国では近く、S-オイルがスラリー油など低硫黄重油の売りを予定しているようだが、現段階では確認されていない。日本でも、ENEOSが重油カーゴの売りを進めた気配があるものの、成約は確認されていない。同社は7~8月に多数の重油カーゴをシンガポールに輸出しており、同市場で供給潤沢感が強まる要因になっているとの指摘も寄せられる。既報のとおり、同社の製油所で二次装置のトラブルが相次ぎ、重油の余剰が生じている。 一方、出光興産は9月分として0.5%S重油カーゴの調達を進めたようだが、成約は聞かれない。同社傘下の西部石油(日量12万バレル)が昨年6月末に閉鎖したことから、同社による西日本での供給が不足している。このため同社は恒常的に低硫黄重油カーゴを調達している様子だ。また、同社の愛知事業所(日量16万5,000バレル)も9~12月に全面定修を予定している。日本積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は変わらず。ただし、域内の供給が潤沢なことから、相場は上伸力を欠いている。
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