アジア石油製品=8月11~15日:ガソリン市況上昇、豪州の需要強く
ガソリン 豪州、製油所の定修で精製量減 北東アジア積みのノンオキシーガソリン市況(MR船型)は需給の引き締まりを受け、上昇した。主な買い手の豪州に加えて、日本からの引き合いも堅調のため、との見方が寄せられた。 豪州の買い気は堅調。同国のジーロン製油所(日量12万バレル)で10月初頭ごろまで、残渣油流動接触分解装置(RFCC)が定修中のためガソリン精製量が減少。また、同国で使用されるガソリンの硫黄分含有量が今年12月から最大0.001%になるのを前に、すでに0.001%Sカーゴの調達を始めているという。市場関係者は「12月の規制強化前に、タンクの中身を2~3回ほど入れ替えたいようだ」と伝えた。 日本では8月以降も川崎や堺で製油所の定期修理が予定されていることなどから、国内の複数の元売りがスポット調達を検討している。
ナフサ 相場膠着、供給減も需要は伸びず 9月後半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は横ばい。供給減の見通しがある一方で、ナフサの需要は伸びず、相場は膠着している。 このところのナフサの固定価格下落により、ナフサとエチレンの価格差は250ドル程度のエチレン高となっている。ただ、日本や韓国、台湾企業の生産調整が続くことに加えて、今年立ち上がったナフサクラッカーのなかにも低稼働となっている装置があるため、日本の市場関係者は「国内外の減産の上で成り立っているスプレッド。増産すれば格差がつぶれる公算が大きいため、稼働引き上げに動く様子は今のところ見られない」と述べた。 韓国国内の8月のナフサクラッカーの稼働率は平均で約80%とみられる。YNCCが第3ナフサクラッカーの稼働を止めて全体の稼働率が下がった。また、ハンファトタルエナジーズもコンデンセートスプリッターの定修に合わせてナフサクラッカーの稼働も引き下げた様子。一方で、10月からナフサクラッカーの定修を予定している現代ケミカルは石化製品の在庫を積み上げようと、80%程度で動かしているようだ。
中間留分 ジェット燃料市況上昇、中国の輸出動向に不透明感 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は大きく上昇した中国による9月積みの輸出動向が不透明なことから、売り物の確保を狙ったトレーダーの買い気が強まっている。 中国では大方の石油会社が第2回までの輸出割当量をこれまでにほぼ消化している。第3回の通達時期はいまのところ不透明で、9月分の輸出割当量に不足感を抱えている。このため、いまのところ9月積みの輸出計画を決めにくい状況とみられる。 スポット取引では、韓国1社が9上旬積みMR船型をFOBベースで同市況対比30セントのディスカウント、同中旬積みを50セントのディスカウントで販売した。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は切り下がった。欧州向けのアービトラージ縮小に伴い、韓国勢などはアジアでの売りにシフトしている。また、日本勢も装置不調の鎮静化に伴い9月以降は一定量の輸出を進める方針だ。これらを背景に、アジア域内の供給には潤沢感があり、相場の上値は重い。
重油 0.5%S、アジアの供給潤沢続く 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。取引は閑散としている。ただし、アジア域内では供給潤沢感から市況が弱含んでおり、北東アジアの石油会社は低硫黄重油の売りに消極的な姿勢だ。シンガポール市場では8月にも域外品の流入が多く、在庫が高止まりしている。 一方、ナイジェリアではダンゴテ製油所(日量65万バレル)による売りが続いている。同社は8月28~29日積みとして低硫黄ストレートラン重油合計13万トンを販売した。買い手はトラフィギュラ。これでトラフィギュラは同製油所8月出しの13万トンカーゴを2カーゴ確保済。ダンゴテ製油所では残渣油流動接触分解装置(RFCC)の稼働が順調でないことや、10月に定修も予定しており、当面は低硫黄重油の売りが続きそうだとの見通しが寄せられる。
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