アジア石油製品=10月20~24日:ジェット燃料市況上昇、灯油の取引でも押し上げ要因に
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ガソリン 日本積み市況反発、アジアの需給タイト ガソリン市場では日本積み92RONガソリン(MR船型)の市況が反発した。主な商談時期の11月積みカーゴに対して、需給の引き締まり感が強い。韓国や台湾、日本で製油所の定期修理が実施されているほか、中国勢がジェット燃料を中心に輸出する公算が大きい。需要地の東南アジアでは、インドネシアやマレーシアで製油所の不具合が続き、シンガポール周辺の需給は足元でタイトと指摘されている。 こうした状況を考慮し、北東アジアの一部の石油会社はFOBベースでの販売を控え、シンガポールのタンクへ玉を持ち込み、個別交渉で取引するケースが増えているとの情報も聞かれた。 スポット市場では、11月下旬日本積み92RONガソリンのノンオキシー品(MR船型)がFOBベースで同市況に対し、1ドル台前半のプレミアムで売買された。月末積みとみられる。先物市場でバックワーデーションが形成されているなか、需給の引き締まりを映し、これより前に成約した11月後半積みのカーゴの約1ドルのプレミアムから反発した。
ナフサ ロシアの供給、一段減少の観測 12月前半日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は横ばい。ロシアからの供給が絞られるとの観測が一段強まった。市場関係者によると、米国がロスネフチをはじめとするロシアのエネルギー関連企業に新たな制裁を科したことが主な要因。一方で、エチレン市況の下落が続き、ナフサクラッカーの原料需要は伸びを欠く。11月中国着のエチレンが750ドル程度で取引されたとの情報が聞かれた。 ヘビー・ナフサの需要は後退気味。接触改質装置(リフォーマー)の採算性低下を受け、複数の需要家がリフォーマーの稼働率を引き下げる可能性がある。需要家1社は稼働率を検討中のため、スポット調達にはまだ動いていないという。別の需要家1社はすでに年内は購買の予定がないとの見通しを伝えた。 装置関連で、タイのPTTGCは今月中旬、エチレン設備1基(OLE4、年産50万トン)の稼働を停止した。同社は10~11月に製油所やアロマ設備の定期修理を実施。これに合わせてOLE4も停止した。2026年1月まで。
中間留分 米向けジェット燃料需要堅調 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は切り上がった。米西海岸向けの買い引き合いが強く、アジアからの裁定取引は活発。また、冬季の暖房需要期入りした日本からも、灯油の代替としてジェット燃料への引き合いが出ており、相場を下支えした。 市場関係者によると、シェブロンのエルセグンド製油所(日量29万バレル)では水素化分解装置(同4万5,000バレル)の稼働率が現在35%と低い。同装置の補修工事は11月に開始予定だが、工期は2026年の秋季までを予定しているとあって、それまで同装置は低稼働で推移する見込み。アジア品に対する強い買い気が継続しそうだ。 韓国では石油1社が個別交渉を通じ、今週までに11月積み品を複数カーゴ販売した。市場関係者によると、同中~下旬積みがFOBベースでシンガポール市況に対し80セント~1.00ドル程度のプレミアムで成約された。 韓国積み灯油(SR船型)の市況連動相場も強含んだ。日本では気温が低下しており需要が増加し、韓国積み品への引き合いが増えている。韓国出し11月積みの買いを検討する業者からは2.00~2.50ドル程度が成約可能な水準として伝えられた。韓国の製油所品やタンク品を扱う市場関係者によると、米国向けジェット燃料の引き合い増加などを背景に灯油の供給余力は限られるという。このため、さらなる売値引き上げも検討しているもよう。また、一部日本商社と韓国業者の間では12月起こしのターム契約交渉も始まっているが、妥結に至ったとの情報は浮上せず。
重油 市況連動相場、精製マージンとも軟調 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は同値で推移した。新たな売り買いとも確認されず、取引は閑散としている。 シンガポールで在庫が高止まりし、市況は低迷。北東アジアの石油会社はスポット販売に消極的だ。製油所の定修を背景に、一部の韓国石油会社に11月積みの輸出余力が見られるものの、現段階で売りは聞かれていない。シンガポール先物市場でドバイ原油対比の0.5%S重油のクラックマージンは一段と縮小し、バレルあたり3.00ドル超で推移している。市況連動相場も長らく軟調に推移しているため、トレーダーもカーゴの販売には慎重という。欧州からアジア向けのアービトラージは長らく閉じているものの、他の地域からの供給が続いている。
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