LPG=VLGC運賃、2020年の平均価格は60ドル台半ばとの見方
液化石油ガス(LPG)を運搬する超大型ガス船(VLGC)の運賃について、一部の市場関係者は、2020年における中東/日本のスポット平均価格がトン当たり60ドル台半ばで推移する可能性があるとみている。先物市場で昨年末、この航路の運賃を示す指標価格が同等の水準で取引されていたことが背景。また、実際の船舶需給についても、米国からインドといった長期航路の荷動きが増える一方、新造船の投入数が限られていることから、「相場の下げ材料よりも上げ材料の方が際立っている」(船舶ブローカー)という。
ただ、「先物市場の価格は当てにならない」(日本元売り)との指摘も寄せられている。市場関係者の頭をよぎるのは1年前の先物価格だ。2018年末、先物市場では2019年の年間平均スポット運賃がトン当たり39ドル前後で取引されていた。しかし、蓋を開けてみれば、運賃相場は年初に船舶の需給緩和を受けて同20ドル付近まで落ち込み、その後は米ガルフでの滞船を皮切りに急伸。値動きの荒い展開を見せた。米国からインドやインドネシアといった長期航路も開拓された結果、19年の年間平均スポット運賃はトン当たり57.76ドル(※リムの価格評価)と、先物価格を著しく上回る水準となった(下図参照)。
2020年は国際海事機関(IMO)による船舶用重油の硫黄分規制が1月から強化され、バンカーコストが前年比で上昇することは必至と目されている。また、産油国の協調減産が続くなか、中東産LPGの供給がひっ迫することで、長期航路の荷動きが活発になり、傭船需要の増加とフレート相場の上昇に繋がると予想されている。しかし、運賃が高騰すると、LPGの輸入業者が高値警戒感からLPG自体を買い控え、結果的に傭船需要の後退を招く可能性もある。そのため、VLGC運賃の動向を正確に見通すためには「LPGカーゴのスポット相場と同じく、船舶需給と価格推移を1日1日追っていくしかない」(日本元売り)というのが実情のようだ。 |