三井化学=バイオアドブルーが山九のローリー車に採用
三井化学と山九は21日、山九が運行する化学製品輸送用タンクローリー車の一部に、三井化学が製造・販売するマスバランス方式による「バイオAdBlue(R)」を採用し、本年6月より使用を開始したことを発表した。
「AdBlue」(アドブルー)は、ディーゼルエンジンに搭載される尿素SCRシステム(選択還元触媒方式)で使用される、尿素を32.5%含む高品位の尿素水。尿素SCRシステムとは、一部のディーゼルエンジン車に搭載されている、アンモニアを使って排気ガス中の窒素酸化物を浄化できるシステムだ。アンモニアの取り扱いは難しいため、尿素水溶液として車内のタンクに保存し、エンジンの熱によってアンモニアに気化させて、排気ガスに噴射する仕組み。このシステムが導入された車両においては、アドブルーがタンクに無い状態では、エンジンの始動などにも支障が出てくる重要なものだ。
今回、山九のローリー車で運用が始まった「バイオアドブルー」は「マスバランス方式」によるバイオマス尿素を原料としている。石油由来の原料を一部バイオマスに代替することで、製品ライフサイクル全体における温室効果ガス(GHG)排出量が最大約70%削減できるという。
「マスバランス方式」とは、原料が混在するサステナブルな製品を作る際などに使われる手法のひとつ。例えば、石油由来原料80トン、トウモロコシ由来のバイオマス原料20トンを投入(混合)して100トンの製品を作った場合、単純な配合率では「バイオマス由来成分が20%の製品が100トン」となる。しかし、第三者機関に認証を受けて、マスバランス方式を採用すれば、完成品のうち20トンを「バイオマス100%の製品」としてラベリングできる。三井化学では、すでに約40を超える製品で、マスバランス方式におけるバイオマス化を実現している。
三井化学と山九は、供給範囲の拡大や他車両・他地域への展開、持続可能な物流モデルの構築を今後も進めていく方針だ。
(バイオアドブルーを採用するEOタンクローリー サンキュウ・トランスポート関西 所有)
写真の出所:三井化学 発表資料
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