ヤマハ発動機ら=異業種5社でコンパクト・省エネCO2回収装置の開発へ
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ヤマハ発動機とサクラ工業は25日、JCCL、東洋製罐グループホールディングス(HD)、三井物産プラスチックの3社が進めてきた、工場の燃焼排ガスなどから二酸化炭素(CO2)を回収する装置の技術開発と事業モデルの構築事業に参画し、5社で共同開発契約を結んだと発表した。
5社が開発するCO2回収装置は、JCCLのアミン含有ゲルを用いたCO2回収技術に、工場の排熱を活用した省エネ運転や、窒素酸化物・硫黄酸化物を除去する前処理を組み合わせる。プラントのコンパクト化と各社の技術の融合により、中小企業でも導入しやすい事業モデルを目指す。
5社の主な役割は、九州大学発のスタートアップであるJCCLが吸収剤(アミン含有ゲル)によるCO2分離・回収技術を提供し、東洋製罐は包装容器の生産で培った技術力を生かした開発・設計を担う。三井物産プラスチックはビジネスモデルのプランニング、マーケティングを行う。ヤマハ発動機とサクラ工業はCO2回収装置の開発や評価を担当。バイクなどの高度なマフラー生産を手がけるサクラ工業は、排ガスの分析や処理、浄化性能の評価に関する知見提供も見込まれる。
開発拠点は、ヤマハ発動機の森町工場(静岡県周智郡森町)に2024年に新設された実証施設「ZERO BLUE LAB 未森」となる。同施設には、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備える。同社は、二輪車や鋳造部品の製造工程で不可欠なアルミ合金の溶解に、都市ガスなどの化石エネルギーを使用してきたが、CO2排出量の削減に向け、水素ガスによる代替技術の実証を進めてきた。また、グリーン水素を製造する装置や、CO2と水素による合成メタン製造(メタネーション)の研究も同施設で行われている。元々、他企業や学術機関との協業も想定された実証施設であるという。
今回の共同開発では、「ZERO BLUE LAB 未森」での大型装置の完成と、事業の実現可能性調査(Feasibility Study)を2027年7月末までに完了する計画だ。以降は実証実験で得た知見を事業モデルへ反映し、ヤマハ発動機グループ拠点へ段階的に展開。同社が定めた2035年のカーボンニュートラル達成に繋げる方針としている。
共同開発するCO2回収工程フロー
ZERO BLUE LAB 未森(2025年11月17日発表資料)
図版、写真の出所 ヤマハ発動機 発表資料
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