第351回 (2026年6月17日)
昨年開催した関西万博では、最寄り駅と会場などを結ぶ電気自動車(EV)バスが運行された。EVバスの最大の魅力は、走行中に排気ガスを出さない点だ。大気汚染の軽減につながり、停留所周辺や街中で排ガス特有の臭いを低減することもできる。またエンジンを持たないため振動や騒音を抑えることができる。
一方、化石燃料を使用する従来型のバスに比べて車両価格が高いうえ、充電設備の整備も十分とは言えない。長距離や寒冷地での運行にも不安が残る。何より万博で使用したEVバスは不具合が多く、結局、閉幕後の使用を断念せざるを得なくなった。EVバスが社会で本格的に活躍するまでしばらく時間がかかりそうだ。
これに対し従来型バスは、長年蓄積してきた技術に対する高い信頼性がある。燃料補給に時間がかからず、一度の給油で長距離を走行できる。地方路線や山間部、高速バスなどでは依然として欠かせない存在で、災害時も燃料供給網が維持されれば早期の運行再開が可能だ。社会インフラとしての実績は非常に大きい。
EVバスには未来への期待があり、従来型バスには現実を支える堅実さがある。環境負荷低減を象徴するEVバスと、安定輸送を担う従来型バスは、いまのところどちらか一方を選ぶものではないと言えそうだ。都市部でEVバスを積極的に導入し、長距離や地方では従来型を活用するなど、「適材適所」が求められると感じている。
(方)

