記者の眼記者の眼

第242回 (2024年4月24日)

 先日、北海道を車で移動した。吉田拓郎の代表曲「落陽」にでてくる苫小牧フェリーふ頭で車をピックアップして、帯広に向かった。途中、道東道を利用したが、国道など一般道も使った。高速道路では少なかったが、一般道では路面の亀裂や陥没が目立った。雪深い北海道では、チェーン使用の頻度が高いため、道路の劣化進度が早いといった事情は分かるが、帯広市を走行中には危うく穴ぼこにハンドルを取られそうになった。

 

 聞くところによると、北海道庁が道路の修繕工事を増やせないといった事情があるようだ。ロシアのウクライナへの侵攻の影響で原油相場が上昇したため、道路舗装に不可欠なアスファルトの値段が急騰した。一般的なアスファルトの相場上昇はこのところやや落ち着いているものの、それでもトンあたり95,000円程度とウクライナ侵攻前に比べ約2割高い。一時は130,000円近くまで暴騰した。

 

 北海道庁に限らず自治体の多くは毎年、道路舗装に充てる予算の上限を決める。このためアスファルトの価格が上昇すると、舗装可能な道路の面積が減ることになる。修繕工事よりも、災害などにともなう復旧工事へ道路舗装の予算を優先的に割り振る自治体も多い。

 

 道路は人が生活する上で欠かせない重要なインフラの一つである。原油相場が下落すれば、修繕工事も以前のように実施されるであろう。ただ未来の原油相場の動向は誰にもわからない。戦争の影響が思わぬところに出てくるものだと痛く感じた。

 

( 柳 )

 

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