記者の眼記者の眼

第355回 (2026年7月15日)

 北海道の十勝地方をしばしば訪れる。娘が牛などの家畜を飼育する牧場に昨年から勤務している。帯広空港から勤務先の音更市に行く道すがら、赤色や青色をした二段傾斜のギャンブレル屋根の畜舎が数多く点在している。帯広市北部の牧場にある牛舎を覗くと、場内に牛のふん尿が積み上げられていた。ふん尿はとにかく臭い。臭さが尋常ではない。臭いの元凶は、ふん尿から発生するアンモニアや硫化水素であり、同じくふん尿から発生する注目のメタンガスは、実はほぼ無臭とされている。

 

 温室効果ガスとして知られるメタンガスは、二酸化炭素の20倍以上の温室効果が確認されている。世界中で大気中への放出を減らす動きが強まる一方、エネルギーとしての活用が進んでいる。日本の牧場でも、これまで廃棄されていたふん尿を酸素の無い嫌気状態に置いて、微生物によりメタンガスを回収し、エネルギー源として活用する動きが進んでいる。実際に十勝地方でも、工場の燃料や熱源、発電燃料としての活用が広まっている。現時点ではメタンガスを輸送するインフラや液化設備が完備されておらず、メタンガスが発生する牧場周辺でのエネルギー使用が主になっているが、今後は都市ガスや液化天然ガス(LNG)の原料など、広範囲での使用が進む可能性があるようだ。

 

 北海道、特に帯広市や音更市などを中心とする十勝地方は、日本有数の酪農畜産地域であり、おそらく牛のふん尿の排出量も日本一ではないかと思われる。十勝産メタンガスの活用拡大が今後、急速に進み、ふん尿の山が宝の山になることを期待している。

  

(柳)

 

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