第356回 (2026年7月22日)
先日、自宅のトイレが詰まった。修理業者を手配しているうちに汚水はみるみる逆流し、洗面所と廊下が汚物まみれになってしまった。次第に悪臭も酷くなり、一夜を過ごせる環境ではなくなった。仕方なく、その日は自宅近くのビジネスホテルに宿泊した。
翌朝には業者が入った。5時間をかけて排水管の高圧洗浄を行い、ようやく詰まりが解消した。原因は、建物深部にある「縦管」の詰まりだった。縦管とは、集合住宅の最上階から地中まで伸びる1本の排管で、各部屋の汚物がそこを流れ落ちる。通常、数年に一度は管内を洗浄し、メンテナンスを行うようだが、ここ5年は実施していなかったそうだ。こうなれば私に過失はない。自室を汚物まみれにしてしまっただけに、損害賠償の支払い義務などが生じるのではないかと、冷や汗をかいてしまった。無事、ビジネスホテルの宿泊費用は補償され、フローリングも無料で張り替えてもらえることになった。
トイレの外に目を向けてみる。日本の製油所の多くは、1960~1970年代の高度経済成長期に建設されたものだ。設備の老朽化が進むなか、元売り各社は改修や更新を繰り返すことで、持続的な運転を可能としている。私たちの生活の裏には、数えきれないほど多くの努力と苦労があるに違いない。エネルギー市場の情報を発信する記者として、またひとりの人として、暮らしの基盤を支え守ってくださる人々への感謝を忘れずにいたい。
(山根)

