第293回 (2025年4月23日)
中国ではこのところ、米中間の関税問題に対する関心が高まっている。米国のトランプ大統領が4月2日、複数の国に対する相互関税政策を9日から実施すると発表したためだ。このうち中国に対する追加関税は34%。これに対し中国側も報復として米国からの輸入品に対する関税を同じく34%に引き上げ、反撃に出た。
その後も双方の応酬が続き、16日時点で米国が中国に課す税率は、条件によって最大245%まで引き上げられた。連日引き上げられる米国の関税政策について、中国側では「単なる数字のゲームに過ぎない」との受け止めが目立つ。
中国も米国品に対する関税を125%まで引き上げているものの、「すでに通常の貿易とはかけ離れた状況。これ以上は米国の税率引き上げには対抗しない」(中国政府)と強い態度を示している。
米中間の「貿易戦争」は、既に2018年に始まっている。当時、中国の貿易相手は米国が中心で、米側の要求に応じざるを得なかった事情がある。その反省もあって、多くの中国企業は貿易対象を米国以外の周辺国にも移してきた。また、内需拡大にも努め、米国への依然度は当時より低くなっている。
中国政府の統計によると、2024年の中国の輸出総額の14.6%が米国向けで、これは中国のGDPの2.3%を占めた。
私が石油化学レポートの取材で話しを聞くトレーダーは、米国向けにカーゴを輸出している。「34%の追加関税の発表があった際は、まだ米国向けの輸出を検討する余地があったが、これほど税率が上がっては取引する意味がない」と話した。
今後、米国がどういう態度を取るのか、引き続き注目している。
(金)