記者の眼記者の眼

第296回 (2025年5月14日)

 大型連休中に青森を旅した。久しぶりに訪れた龍飛崎では、かつて林立していた風力発電のプロペラ群が無くなっていた。

 

 調べてみると、19923月に東北電力とNEDOが共同で設置した集合型風力発電基地「竜飛ウインドパーク」は20073月末をもって実証実験を終了、廃止されたようだ。

 

 全国津々浦々を旅していると、2000年前後から風力発電、2011年以降は太陽光発電が増えてきたことを実感する。世界的な脱炭素の流れと、東日本大震災を受け、それまで主力だった石炭火力、原子力に代わる代替エネルギーを模索する流れなのだろう。ただ、無責任な旅人の目線でいえば、巨人の群れのような風車群は威圧感があるし、山肌をはぎ取って敷き詰められたソーラーパネルは無粋以外の何物でもない。

 

 1990年代に始まった風力発電の検証が15年間で役割を終え、その後のエネルギー政策にどのような影響を与えたのかまではわからないが、風量が安定せず、山がちな日本での運用に否定的な声もあがっている。また、東日本大震災に伴う原発の運用停止を受け、爆発的に普及が進んだ太陽光発電は、補助金という「ドーピング」が正しい評価を難しくしている。

 

 今後、新エネルギーが確立されるまでの移行期間では、様々なアイデアが生まれては消えていくことが予想される。ある程度の試行錯誤は仕方ないとして、正しい検証と評価はしっかりと行い、次世代エネルギーへの道筋を誤らないようにしてほしいものだ。

  

(小泉)

 

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