記者の眼記者の眼

第96回 (2020年6月24日)

 4月からテレワーク生活となり、3カ月目に入った。職場に出社という、社会人なら当たり前のことが、たった数カ月で「当たり前だったのか?」と思うようになった。「満員電車がつらいので職場の近くに」、「乗換えが面倒だから一本で行ける路線に」、社会人になってからはそんなことを思いながら何度か引っ越しをした。多少家賃が高くても、多少部屋が狭くても、「出社」という前提を疑うことなく、働を主に、住を従とする考え方をしてきたのだろう。

 

 45月、街を歩けば飲食店や喫茶店は「しばらく休業します」の張り紙ばかり。よく行く家電量販店や大型書店も休み、ないしは入場が制限された。スーパーは時短営業で、夜中は人がいない。歩く人よりマスクをしながら黙々と走る方々とすれ違うことのほうが多かったかもしれない。通常営業の銭湯に通うのが唯一の息抜きとなった。

 

 街中のお店が休みだったため、通販サイトで今まで以上にモノを買い、書籍も最近ではデータを買い、スマホやタブレットで読むことが増えた。電車に乗る機会が減り、本を読む時間も減った。ちょっとした買い物の帰り、いつもより暗い夜道を歩きながら、ぼんやり考える、「都市に住む意味って何だろうか」。

 

 6月に入り、街には人が戻りつつある。私自身も完全テレワークから出社する日が増え、7月以降はテレワークと出社のハイブリット生活になりそうだ。春から夏に移ろう中、働と住のあり方を改めて考えてみたい。

 

(阿部)

 

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