記者の眼記者の眼

第321回 (2025年11月5日)

 日本初の女性総理大臣が誕生した。女性初に対する期待感の表れなのか、各メディアが実施した世論調査はいずれも高い支持率を示している。

 

 これまで日本社会では男女不平等の傾向が強く、女性の社会進出は遅れがちだった。1985年に男女雇用機会均等法が成立して以降も、国会議員や企業の管理職数などは圧倒的に男性が多く、いまだに男尊女卑的な風潮も残る。経済協力開発機構(OECD)が実施した男女平等に関する調査でも、女性管理職比率や男女の賃金格差等で、これまで日本は加盟国平均を下回ってきた。それでも均等法成立からちょうど40年の節目の年に、政界トップに女性が就いたことは大きな前進と言えるのではないか。

 

 世界に目を転じれば、欧州やアジア各地ではすでに女性リーダーが誕生しており、少しずつであっても「ガラスの天井」にひびが入りつつある。各方面でひとたび女性リーダーが誕生すれば、優れた才能に性差はないと感じられるだろう。実際、自身も関りが深いメディアやエネルギー業界でも、国内外で活躍する女性が増えていると感じる。

 

 男女の性差に加え、近年では性的マイノリティも含めた多様性を受け入れる土壌が世の中で着実に育ってきている。特に人口減少に歯止めがかからない日本社会にあっては、これまで以上に女性、高齢者、外国人などの活躍の場が求められるだろう。こうした流れが社会の発展を後押しする様子を、私自身も見守っていきたい。

 

(横井)

 

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