第329回 (2026年1月7日)
「昨年末に携帯電話を買い替えた」、そう記者の眼に書いたのは3年前の1月だ。昨年末、また新たにシャオミ製を購入した。3年で中国の携帯電話ブランド淘汰が進んだと感じた。
当時より中国企業の日本市場への関わりは一段と強まっている。携帯電話大手のシャオミは日本で自社製品のみを取り扱う実店舗をオープンさせ、ロボット掃除機やテレビを並べる。2023年に日本で初の正規ディーラーを出店した電気自動車メーカーBYDは、夏には軽EV「ラッコ」を導入予定だ。
中国では指定された特定の産業に投資が集中し、過剰生産能力による苛烈な価格競争が生じ、企業の損失拡大やデフレ進行が問題化した。政府も反内巻を掲げ過当競争の是正政策を打ち出す。石油化学産業も同様で、国内の供給過剰による市況低下が、中国のみならず世界の石化企業に打撃を与えている。その一方で海外進出を果たす中国企業は国内の安価な原材料、さらには大規模化、効率化を通じ、高い競争力を備えている。
「蟲毒(こどく)」という言葉がある。毒を持つ虫や小動物を壺の中に閉じ込め、共食いさせ最後に残った一匹を人や物を害するための呪術に使用する。これまで世界に普及した革新的商品やテクノロジーは開発者の夢や理想が形になったものが多かった。しかし、既存産業で世界に競争を仕掛けシェアを獲得する中国企業の戦略に対し、その低価格や技術を享受しながらも、何か呪術めいた危うさを携帯電話片手に感じた。
(北村)

