記者の眼記者の眼

第319回 (2025年10月22日)

 今年から近所の貸農園で、野菜の体験農園に参加している。毎月講習会に参加しながら、栽培スペースで指定された野菜を栽培している。雑草と苦闘しながらも、夏野菜ではオクラ、枝豆、ナス、トマト、キュウリ、ピーマン、シシトウ、トウモロコシの収穫にこぎつけた。実際に育ててみて思ったのは、トウモロコシの栽培のしやすさだ。

 

 苗や葉に害虫がつきやすいナス、脇芽や枝葉の管理が必要なトマトやオクラ、支柱で誘引するキュウリやピーマン、収穫に骨が折れる枝豆と違って、トウモロコシの場合、手間がほとんどかからなかった。茎も太く、頑丈だ。誤解を恐れずにいえば、トウモロコシは種をまいて雨さえ降れば、勝手に育ったというのが率直な感想だ。

 

 トウモロコシといえば、飼料や食品用途のほか、最近ではエタノールの主原料として注目されている。

 

 日本は2030年にエタノール混合10%(E10)ガソリンの導入を目指しており、実現には年間約400万キロリットルのエタノールが追加で必要とされる。仮に追加分を全量トウモロコシ由来のエタノールで賄うと、約1,140万トンと現在の日本のトウモロコシ年間輸入量の7割に相当する量が必要になる。量の多さから、手当できるのか心配する声もある。

 

 だが主産地の米国や南米ではトウモロコシの生産は毎年のように増えている。トウモロコシの栽培のしやすさや頑丈さを考えると、何とかなるのではないか――。個人的な栽培経験に過ぎないとはいえ、こう思うのは楽観的すぎるだろうか。

 

(山本)

 

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