記者の眼記者の眼

第234回 (2024年2月28日)

 東南アジアで電気自動車(EV)の普及が予想外の速さで進んでいる。コロナ以前はちまたでEVが話題に上ることなど殆どなかったものだが今は違う。

 

 シンガポールのタクシー運転手(EV)は「(運転の心地は)前に乗っていたディーゼル車とほとんど変わりません。1回の充電で300キロくらいしか走れないのが少し難点かな」という。この島国は北海道・旭川市とほぼ変わらない広さしかないが、政府は2030年までに充電ポイントを6万カ所まで拡大することを計画している。

 

 久々に訪れたタイでは、搭乗させてもらったグラブ(Grab)タクシーの運転手は「この車は最近買ったのですが、EVにするかどうか随分迷いましたよ。国が関税などでEVの融合策を推進してますし。近い将来全部EVになるなんて声も仲間うちで出ています。でも充電ポイントがまだ少ないので今回はハイブリッドにしました」と語る。

 

 グラブとは東南アジアで最有力の配車アプリ。こうした配車アプリの登場で、タクシーの利用は市場原理が働いて割安となり、手配も随分と楽になった。現金支払いをする必要はなく、現地の言葉で行き先を説明することが回避できる。東南アジアの多くの国で共通に使える配車アプリもあり、旅行するたびにお世話になっている。

 

 EVの時代になると、どれだけ環境改善に寄与できるのだろうか。充電のための発電、バッテリーの廃棄、車体生産の過程で生じる二酸化炭素-等々、知らないことも多い。

 

(萩本)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp