記者の眼記者の眼

第232回 (2024年2月14日)

 新聞やニュースで「エルニーニョ現象」という言葉を聞く機会が増えた。南米沖の太平洋の海水温が高くなる現象で、日本では暖冬になりやすいといわれる。今冬もエルニーニョの影響からか、日本は気温の高い日が多くなっている。

 

 東京は2月に入って一度、大雪に見舞われたものの、おおむね最高気温が10度前後と、冬場にしては暖かい日が続く。近年は冬らしさを感じにくく、ガソリンスタンドやホームセンターでの灯油の売れ行きはいまひとつとの声を聞く。筆者がマーケットを取材している西日本でも、民生用灯油の需要が伸び悩んでいる。小売り販売量が前年比で23割減となる業者も多いようだ。

 

 灯油に関していえば、小売業者は配送面でも問題を抱える。ドライバー不足が進み、タンクローリーをフル回転できない状況が差し迫っている。今後、いわゆる「2024年問題」が本格すれば、さらにドライバー不足が深刻化し、配送に大きな問題が生じかねない。

 

 不幸中の幸いと言ったらいいのか、西日本では今冬のデリバリーにさほど大きな問題は生じていないようだ。ただ、北日本比べ気温が高いとはいえ、西日本でも山間部の灯油の配達遅れは、死活問題になりかねない。配送業者はドライバーの賃上げなどで対策を講じているが、人材離れは続く。

 

 エルニーニョ、2024年問題などさまざまな問題を抱え、先行きを見通しづらい石油業界。問題が解決されるよう祈りながら、日々の取材を続けている。

 

(林)

 

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