記者の眼記者の眼

第101回 (2020年9月2日)

 「新規事業を始めた!」。南米専門の旅行会社を経営する友人から連絡を受けた。8月からスペイン語のオンラインスクール事業を始めたそうだ。

 

 今回のコロナ禍は、主事業である旅行業務にはかなりの打撃。しかし、「ビジネスはすべてトライアンドエラーの繰り返し」を信条とする彼は、視点を大きく変え、語学ビジネスへの進出に動いた。同社の社員10数名のうち、大半のスタッフがネイティブスピーカー、あるいは旅行ビジネスの最前線で鍛えられたスペイン語に精通したスタッフだ。レッスンはすべてビデオ会議ソフトのZOOMを使用。「密」回避の条件をクリアしつつ、潜在能力の高い人的資源を最大限利用するわけだ。

 

 これが、現在では予約が困難となるほど人気を集めているらしい。成功の理由はいくつかあるのだろうが、まずは①機敏な対応だ。新ビジネスの検討を始めてから2カ月前後で巡航速度までこぎつけた。そして、②ブランド力。本業の南米専門の旅行会社としての数十年間の実績によって、同社の「ファン」が育まれていたことも要因だったことは間違いない。そして、③旅行業という業態こだわらず、「求められるものを世に届ける」という姿勢だ。

 

 環境こそ違えど、マーケットレポーターも本質的に同じことが求められるだろう。私もレポーターとして機敏に行動し、レポートを超えて求められる何かを提供し、ファンができるほどの実績ができるよう研鑽に努めたい。

 

(橋本)

 

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