記者の眼記者の眼

第125回 (2021年8月18日)

 

 東京オリンピックの聖火が水素を燃料としていたことは、多くの視聴者に伝わったのではないか。ENEOSが大会期間中にCMを何度も流していたし、テレビ東京もワールドビジネスサテライトで聖火台の特集を組んでいた。この水素は福島県の浪江町で製造されたもの。今度こそ環境に優しいエネルギーを作るという官民の意気込みが伝わってくる。

 

 マラソン競技で目を引かれたのは、子供のころにモーターショーで展示されていたような近未来フォルムの先導車だった。聞けばトヨタの電気自動車だという。トヨタの名前をオリンピック関連であまり聞いていなかったが、あの先導車を出すだけで十分な広告効果があっただろう。

 

 始まってみればオリンピックの効果は絶大で、家の外でも中でも毎日その話題で持ちきりだった。サッカー男子の準決勝を観戦していたら、ベトナムの取材先から応援のメッセージをもらったし、豪州、台湾、タイといった他の国からもオリンピックの話を切り出された。メディアイベントとしての性格はインターネットの普及でいっそう強まったように感じる。

 

 選手たちは人種、性差別、民族離散などの問題を浮き彫りにし、多くの人がSNSなどを通じて共感し、時には反発した。今回は新型コロナウイルスとの闘いに注目が集まったが、気候変動も国を越えて解決していかなければいけない問題だ。今回のオリンピックをきっかけに、クリーンエネルギーへの意識が世界的に高まることを切に願いたい。

 

 

(志賀)

 

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