記者の眼記者の眼

第176回 (2022年12月14日)

 最近、地元にメガソーラー発電所があることを知った。普段目にすることのない、山奥の県有地と市有地が隣接する農業試験場の跡地に設置されたため、全く気が付かなかった。ただ、山地は太陽光発電に適さない土地と聞いたことがあるうえ、発電所の位置する場所は人里から離れているため、周りは雑草や雑木に覆われている環境のはずだ。これでは維持管理が難しいのではと思っていた。

 

 しかし調べてみると、山の中でも環境を整えることができれば発電効率は平地と遜色ないという。さらに発電所の敷地には雑草の生えにくい特殊な砂が敷き詰められていて、草刈りなどのメンテナンスも最小限で済むようだ。私の浅慮は杞憂だったと言うほかない。また、発電効率は例えば東海地方のメガソーラーよりも1割ほど良いようで、これにも驚いた。山間部の涼しい風が太陽光パネルを冷やし、発電効率が高くなっているらしい。先入観で山地は日当たりが悪いと思っていたものだから、効率が良いという発想は浮かばなかった。

 

 私は大して知りもしないことを、色眼鏡で判断していたようだ。第一印象は自分の知識と偏見に大きく依存していることを痛感した。

 

 私が日々発信している情報は見方や立場が偏っていないだろうか。例えば買い手の意見にばかり耳を傾け、売り手の見解を蔑ろにしてはいないだろうか。先入観で情報を取りこぼしたり見逃したりすることがないよう、日々の取材と執筆に注意を払いたいと思う。

 

(朝比奈)

 

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