記者の眼記者の眼

第236回 (2024年3月13日)

 先日、横浜中華街を訪れた際、占いの館に立ち寄った。今後の仕事運について話しを聞いてみたくなったのだ。

 

 5060代と思しき、タロットカード使いの男性占い師。「過去、現在、未来を占いますので、裏にしてあるカードの山をかき混ぜてください」。カードの山を崩し、言われるがままにごちゃごちゃと混ぜていく。ひととおり混ぜ終わると、今度は好きなカードを選び、どちらを上向きにするかと指示が出る。こうしてカードを次々に選び、表面にひっくり返して並べていったところで、いよいよ男性占い師の解説が始まる。あらかじめ、自分がエネルギー関連の取材記者であることは伝えてある。

 

 「何か宗教関連の記事を書かれていますか?」「学術関連について調べたほうがいい」ちょっと待って、と言いたくなった。こちらの話しにあまり耳を傾けず、一方的に占いが始まったのだ。占い師といえ、さすがに過去や未来を何でも言い当てる能力は持っていないだろう。占われる側と言葉のキャッチボールを重ねるなかで、もっともらしいストーリーを仕立てるのが占い師ではないか。そこに少しでも共感できるストーリーがあれば、「この占い師は良く当たるな」と感じるはずだ。

 

 ふと頭をよぎったのは、自分が取材先と話しをする際、一方的に話しをしていないかということ。会話のキャッチボールがなければ正しい情報を得ることはできないと思う。男性占い師が大切な気づきを与えてくれたのだろうか。

 

(二川)

 

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