記者の眼記者の眼

第350回 (2026年6月10日)

 中国で暮らしていると、AIやロボット技術が急速に進化し、新たな産業革命が起こりつつあることを日々感じる。そんな中で特に注目を集めているのが、電気自動車や燃料電池車などを含む新エネルギー車(NEV)だ。

 

 中国の原油輸入依存度は2025年時点で70%を超えており、エネルギー安全保障は大きな課題となっている。こうした事情もあり、政府は石油依存のリスク軽減策の一つとしてNEVの普及に注力。優遇を講じることでNEV利用の拡大を図ってきた。

 

 足元の中東危機により国際市場で原油供給に不安が生じ、世界中でガソリンや軽油の不足や価格高騰が大きな問題となっているものの、中国では政府のこうした政策の効果もあり、少なくとも私が暮らす上海を含む大都市では燃料不足は見られなかった。NEVが輸送燃料の代替となりつつあることを実感する。

 

 このところ優遇策の縮小により国内販売は鈍化する一方、輸出が急増している。原油価格の高騰に苦しむ東南アジア、中東、欧州ではNEV需要が高まっており、こうした地域への輸出が拡大。今年14月の輸出台数は140万台に達した。

 

 中国では近年、多くの人が従来の燃料車とNEVのどちらを選ぶかで迷っていた。また、技術の進歩の裏で、伝統な修理業者の倒産が相次ぐといった社会問題も生じている。ただ、エネルギー問題に加え、技術発展に伴うNEVの進化という観点からも、NEVを選ぶメリットは確実に大きくなっている。今年になって明確な答えが見え始めていると感じている。

  

(辺)

 

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