記者の眼記者の眼

第357回 (2026年7月29日)

 この場をお借りして、11月の弊社主催のカンファレンス「リムアゴラ」にて講演するスコット・アービン・米イリノイ大学教授を簡単に紹介したい。

 

 教授はSNSフォロワー数で5万件を超え、世界で最も発信力があるコモディティー市場研究者のひとり。最近は米国のバイオ燃料政策が主な研究対象だが、「コモディティーの投機論争にけりをつけた」という点でも著名な方である。

 

 2000年代初め。米国では年金などの運用資金がコモディティー市場に流入しバブルを招いたとして、投機悪玉論が浮上していた。多くは米商品先物取引委員会(CFTC)のファンドの買いのデータと原油価格の上昇などを照らし合わせる内容で、代表格のヘッジファンド運用者のマイケル・マスターズ氏は議会証言等を通じ、批判していた。

ただCFTCデータは、ファンドの買いが膨らんでいる場合でも、原油が下がっている局面が往々にある。

 

 教授は年金のコモディティーの運用規模を正確に推計し、実際の相場上昇の影響を統計的に解析した。影響はほとんどないという結論だった。そのうえで「コモディティー市場におけるマスターズ氏の仮説検証」という刺激的なタイトルの論文を多く公表、国際会合等での発信を通じ、投機悪玉論を退けた。

 

 私自身、留学中に教授の講義を受けたが、日本を対象にした教授の研究は記憶にない。日本がE10ガソリンを導入するということで、今回アゴラの講演を引き受けていただいた。どういう講演をされるのか、楽しみだ。

  

(山本)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp