記者の眼記者の眼

第358回 (2026年8月5日)

 今年の冬ごろに、動画配信サービスでマリリン・モンローを題材にした映画を見た。マリリンは神経質な子供のように描写されており、少なくとも映画の監督は彼女をそういう風に解釈したのだろうと思った。映画の中で彼女は、成長してもなお、情緒不安定な母親に打擲されている子供そのものだった。圧倒的な美貌と身体的魅力を備えていながら、どこか御しやすそうに見える。全盛期のマリリンを見ていた大衆もまた、スクリーン越しにそれを感じ取ったのではないかと思う。魅力的でありつつも御しやすそうであれば人々は自らの欲望を投影するだろう。

 
 相場にも同じことが言えると思っている。魅力的でありつつも御しやすそうであれば、その対象に人々は自らの欲望を投影する。そしてそこにあるのは必ずしも金銭欲だけではないと思う。たとえば巨大な資本を投入して流れを変えようとする。再現性のある法則のようなものを見つけ出す。自らの手で相場をコントロールできるという期待、支配欲こそが今日まで相場を突き動かすエネルギーになっていたに違いない。だからこそ、世の中には相場に関する情報や分析が溢れているのだろう。

 
 しかし、女優の顔と同じように、実像を肉眼でとらえることは大多数の人にとってそう簡単ではないはずだ。そして明日には、まったく違う顔をしているに違いない。

  

(山本 雪乃)

 

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