記者の眼記者の眼

第310回 (2025年8月20日)

 商品市場に身を置いてすでに30余年。数多くのマーケットの「専門家」と呼ばれる人々と出会ってきたが、その質は玉石混交だ。

 

 ある「専門家」は25年前には金の専門家、20年前には債券、5年前には米国株のプロフェッショナルの肩書を経て、現在ではFXを語っている。市場の潮目に合わせて肩書きを変え、巧みに経歴を使い分けるその「専門家」に対して、その器用さに感心しつつも、旧知の私からすれば眉をひそめざるを得ない。

 

 たしかに、今や誰もがメディアで何かしらの「専門家」を名乗れる時代だ。高度情報化が進み、膨大なデータに誰でもアクセスできることで、短期間で一定の知識を得ることは容易になった。

 

 しかし、思い出すのは、30年前にかつて「相場師」と呼ばれていた方々から聞いた言葉だ──「人に相場を語るなら、その銘柄について本を書けるほどの知識を持て」。その教えは今も胸にある。

 

 そして、この言葉どおりマーケット分析を高い次元で実現しているアナリストも確かに多く存在する。彼らは才能と不断の努力が結実した存在であり、常に相場の背景・要因に加えて、将来的に起こりうる複数のシナリオを常に分析し、提供している。

 

 彼らの中には、メディアへの露出よりも、自身の分析スキルの向上に主眼を置いている方が多い。ただ、記者としては、彼らの存在と分析を今後もできる限り世に広めたいと思う。真の専門家が正当に評価されることは、マーケットの健全さを支え、進化させる礎だと思うからだ。

 

  

(橋本)

 

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