記者の眼記者の眼

第315回 (2025年9月24日)

 9月も後半に突入し、ようやく厳しい暑さも落ち着いてきたが、今年の夏も本当に暑かった。そんな暑さを抑えてくれる私の貴重なアイテムがビールだ。今年もとにかくよく飲んだ。外出先ではキンキンに冷えた生ビールが1杯で収まらず、2杯、3杯。自宅でも350ミリ缶が1本では収まらず、2本、3本と飲む日もあった。

 

 そのような中で意外なニュースを目にした。ビール大手4社の発表によると、記録的な猛暑日が続いた今年8月のビール出荷量は前年同月比で11%減と、2カ月ぶりにマイナスに転じたというのである。その要因として、「猛暑」が影響したとの見方が示されていた。思わず「はぁ?」と言ってしまいそうだが、猛暑による外出控えやエアコンの高稼働に伴う光熱費の高騰、さらに熱中症予防のため日中のアルコール飲料の摂取を控える傾向があったことなどが影響したと指摘されていた。さらに物価高による節約志向や、出荷日が前年に比べ1日少なかった影響もあるという。昨年よりこれだけ暑いのだからビールもよく飲まれただろう、という私の「思い込み」は誤りだったわけだ。

 

 マーケットを追いかける者として、想定外の動きを目にすることは多々ある。私が担当する電力市場では価格動向が気象に大きな影響を受けるが、複合的な要因で気象にそぐわない動きをすることもある。今夏のビールのニュースには改めて自分の勝手な思い込みの「危うさ」を思い知らされたとともに、事実に基づいた正確な記事の作成、分析を心がけるきっかけにもなった。

 

  

(本間)

 

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