記者の眼記者の眼

第168回 (2022年10月19日)

 2014年夏、この「記者の眼」に海洋温度差発電について書いた。同時にバイオディーゼルの取り組みについても触れた。その時の私は日本の豊かな水、水産、森林、海洋などの資源や豊かな人的資源についてちょっと誇らしげに語っている。

 

 これは21回目のCOP(国連気候変動枠組条約締結会議)で、発展途上国を含む全ての参加国に排出削減への努力を求めたパリ協定が採択される前年のことだ。COPの中ではこの21回目の他に重要な位置付けとなっているのが、パリ協定の先駆けである京都議定書が採択された1997年のCOP3、先進国と途上国の対立が顕著だった2009年のCOP15、そして、「石炭火力発電の段階的削減に向けた努力」を文書に盛り込んだ昨年のCOP26だ。

 

 ここで妙な符号に気づく。COP26はコロナ禍に見舞われ1年延期となった上、開催の翌年、ロシアの軍事侵攻により世界はエネルギー危機に陥った。そしていま、今冬を乗り切るために、石炭火力の導入を余儀なくされる先進国も現れた。

 

 COP3はアジアの金融危機、COP15は世界金融危機の真っ只中。COP21は株価大暴落のチャイナショック、それに続くルーブルショックと、いずれも世界的な危機に直面していたのだ。1995年以来続いているCOPだから、世界のどこかで何かが起きるのは当然のことだろう。とはいえ、世界は一歩進めば様々な危機が立ちはだかるようだ。それでも人は地球を守るためには協議を止めてはいけないのだろうと思う。

 

(盛)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp