第317回 (2025年10月8日)
茶所で有名な静岡県川根町を訪れた時のこと。大井川鐡道に沿って川の上流へと車を走らせた。山の景色に見とれ、金嬉老事件で知られる寸又峡の手前で山道に逸れてグングン走った。途中からカーナビにも映らない急な山道となった。
片側が崩れかけの狭い道であるが故にUターンもできず、人影も見えない。辺りが薄暗くなり「まずいな」と感じながら1時間ほど恐怖におびえながら走った。その後、運よく先行していた車が見つかり何とか人里へ生還できたが、無茶な走行は厳禁と痛感した。そんなドライブ中に感じたのは、先人はどうやってこんな獣道を舗装したのかということ。物理的に重機を使って舗装することは難しいはずだ。
一方、日本の道路は最近、整備が停滞している。国土交通省の道路統計年報では2024年の日本の道路面積は、橋梁やトンネルを含め2万4,024平方キロメートルと2014年に比べ2.7%増えている。一方、日本アスファルト合材協会の統計では、道路の整備や舗装に使うアスファルト合材の製造数量が2024年で3,552万3,000トンと同比で21.3%減となった。
埼玉県八潮市の下水道管破損に伴う道路陥没事故を含め、道路の舗装不備に起因する事故が多発している。建材や人件費の高騰による工事の中止や遅延、災害の多発で道路予算の多くを道路整備ではなく災害復興へ振り向ける自治体が多いことなど、諸々の事情で道路整備が進まないようだ。生活に欠かせない道路に自分が出来ることは何か。車に頼らず少しでも徒歩を増して道路にやさしくすることかと感じた。
(柳)