記者の眼記者の眼

第294回 (2025年4月30日)

 JTB時刻表が20254月号で、創刊100年を迎えた。スマートフォンで瞬時に何でも調べられる時代だが、紙の媒体に馴染んだ世代としては、手に取るだけで旅情を掻き立てられる。

 ただ、ページをめくると、地方路線の時刻表で本数の少なさに驚く。1時間に1本あればいい方で、場合によっては朝8時台のあとは夕方16時まで運行がない路線もある。ほとんど沿線の学生向けの運行だろうが、これでは昼間に移動する旅行者には使えない。

 

 この隙間を埋めるのが代替バスなのだが、これまた2~3時間に1本、はたまた冬場のダイヤは早めに繰り上げなど、乗り遅れようものなら目的地に辿り着くのも難しくなる。さらに1年ぶりに来た街で地元バスの時刻表を見ると、明らかに以前より本数が減っているうえ、最終運行時間も前倒しになっており、来たバスは小型バス。挙句、100円循環バスだったものが150円に値上がりと、地方交通の現状をまざまざと感じた。

 

 運転手の2024年問題、軽油をはじめとする燃料価格の高騰など地方では想像以上に影響が大きく、特に公共交通問題の深刻さを現地でまざまざと感じた。これらはリムも扱ってきた話題だが、果たして自分が記事を書くとき、この現場感覚があっただろうか。リアルさが伝えられているか、書くことに慣れ過ぎていないか、独りよがりのブログのようになっていないか。業務とは離れた時間だったが、ふと記者としての自分を考えた。

 

  

(工藤)

 

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