記者の眼記者の眼

第308回 (2025年8月6日)

 727日に千秋楽を迎え、平幕の琴勝峰が賜杯を抱いた今年の大相撲名古屋場所は、新たに建設された「IGアリーナ」が会場となった。

 

 名古屋場所といえば暑さが付き物。名古屋場所は1958(昭和33)年から本場所となったが、初代会場の金山体育館は冷房なしで、「南洋場所」と称されていたらしい。その後、会場は空調付きの愛知県体育館に移ったが、暑さは相変わらずだったようで、テレビ中継に映る升席にはいくつものうちわがはためいていた。それを見て、「夏が来たな」と思ったものだ。自分は名古屋場所を会場で直接観戦したことはないものの、名古屋の暑さに加え、大入りの観客による熱気で、相当な暑さになるのは想像に難くなかった。

 

 しかしIGアリーナに会場を移した今場所は、そのうちわの数が以前に比べ少なかったように見えた。「新会場では空調が良く効いている」、とテレビ中継で何度も繰り返されていた。高い天井から吊り下げられた満員御礼の幕も空調の風でなびいていたのが、面白い。

 

 ところで、この会場に供給されているのは中部電力ミライズのCO2フリーの「Greenでんき」。おそらく空調にもこの電力が使われたことだろう。カーボンニュートラルにも配慮しており、この時代らしさを実感した。

 

 今回の名古屋場所は、新入幕の草野、新鋭の安青錦が優勝争いに絡むなど新しい時代の始まりを予感させるようなものでもあった。新しい時代になってもますます熱戦が続くことを期待している。

  

(原)

 

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