記者の眼記者の眼

第320回 (2025年10月29日)

 翡翠(ひすい)が値上がりしているようだ。金相場の値上がりについては以前からメディアでニュースになっていたが、緑色の宝石価格が上昇していることを私は知らなかった。

 

 翡翠はおもにアジアで採れる宝石で、ミャンマー産や中米グアテマラ産のものが以前から市場で多く取引されてきた。宝石のバイヤーの肌感によると、なんでも中国の富裕層が買い占めており、その値上がり率はここ数年で50%を超えるという。小耳に挟んだその話をインターネットなどで調べると、なるほど翡翠の値が上がっているのは事実らしい。

 

 今までまったく興味がなかったが、その話を聞くと私も翡翠が欲しくなってきた。どうしても翡翠が欲しくなったので、専門の卸売商から購入した。

 

 人間の購買意欲に情報が寄与するところは大きいようだ。財布からお金を出しながら、それをひしひしと感じた。大きな資本の投入によって市場にうねりが生まれ、庶民の私がその流れに乗る。そんな相関関係が頭に浮かんだ。

 

 ところで、翡翠の中でもひときわ透明度が高く、グリーンの濃いものは「琅玕(ロウカン)」と呼ばれ、最高級グレードとされている。カボションの形にカットされた山なりのそれを新聞紙の上に置くと、その透明度から文字が透けて読めると言われるほどであるらしい。私もエネルギー市場の記者として、「琅玕(ロウカン)」のような透き通った目に相場を映すことを日々目標としていきたい。

 

(山本雪)

 

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