記者の眼記者の眼

第86回 (2020年2月5日)

 

 私は普段、記者として取材や記事の執筆をこなしつつ、最近は日本語記事の英訳も少しずつ担当している。

 

 大学時代にインドネシア語を専攻し、卒業後はインドネシアで6年半働いていたので、この間の私にとっての外国語といえばインドネシア語一色だった。もともと好きだった英語も使ってみたいという憧れを抱きながらリムに転職したが、入社時の目的の一つは叶いつつある。

 

 よく「語学はツール」と言われる。まずは何かの分野での専門性という武器を身に付け、それを生かすためのツールが語学という意味だろう。

 

 学生時代から語学に深い興味があった私は、語学自体が目的となっていた面は否めない。翻訳は、「語学はツール」ではなく「語学が目的」の延長にある作業だと思う。自分は果たして、語学をツールとして使うことができているのだろうか。

 

 日々の取材の中で、外国の方と英語で会話をすることもあるが、日本人の取材先と日本語で話すことが多くなりがちだ。取材するうえでは、今のマーケットで何が起きているか把握し、相手に持っている情報を伝えつつ、新しい情報を引き出す必要があると思う。知識と技術がなければ外国語で取材をするのは難しく、「日本人と日本語で話すなら何とかなりそうだ」と甘えてしまっている部分がある。

 

 記者という専門的な職業としての技術をまだまだ磨かないといけない。そこで初めて、語学をツールとして生かすことができるのではないか。

  

(田鎖)

 

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