第362回 (2026年9月2日)
数年前からコツコツ集めていた航空会社のマイレージがずいぶん貯まった。もうマイレージを使用した豪州や中東行きの特典航空券の発券だって夢じゃない。思い立ったら吉日ということで、メルボルン行きの航空券を予約しようとしたのだが、予約サイトで提示された燃油サーチャージや空港使用料などの諸経費が往復でなんと約15万円。過去の経験則に原油高を加味して10万円くらいと見積もっていたが、円安と燃料価格の高騰は想定よりも深刻だと痛感した。
航空会社の燃油サーチャージ額を決めるための基準には、シンガポール積みケロシン価格が採用されている。8月に航空券を発券する場合、2026年4~5月のケロシン価格の平均値である178.21ドル/バレルを基に燃油サーチャージ額が算出される。一方、燃料高騰の契機となった米国によるイランへの軍事攻撃前である2月に発券した場合、基準となる2025年10~11月の平均価格が89.86ドルだったため、約2倍に跳ね上がっていることが分かる。燃油サーチャージ額を正確に導くには、ドル円為替や政府による激変緩和措置の影響を加味する必要があるが、燃油サーチャージ額が2月比で5万円以上値上がりしたことは紛れもない現実だ。
取材先には「しばらくWTI原油相場は下支えされるどころか、米国とイランの対立が先鋭化すれば、再び100ドルを突破する可能性は否定できない」と教えてもらったことから、現状ではケロシン価格が先行き下がるとは期待できない。ならばこれ以上値上がりする前に航空券を押さえた方がいいのか、それとも米国とイランによる戦闘の継続可能性を疑い、11月以降に発券した方が値下がりを期待できるのか。今、私はこれまでエネルギー記者として培った経験と判断力が試されている。
(朝比奈)

