記者の眼記者の眼

第365回 (2026年9月24日)

 担当している季刊誌の特集で、発電用の核融合炉の実現を目指す日本のスタートアップにインタビューした。核融合の技術開発を進める企業は日本にも複数あるが、この企業は他と異なるアプローチを進めており、大都市にも設置できる安全性の高い電源としての実用化を目指していた。詳細は記事を読んでいただくとして、インタビューに応じた創業者は、「自分は研究者ではないが、科学技術で世界を変えたい。核融合は世に出るべき技術なんだ」と熱を込めて語ってくれた。

 

 9月には次世代型太陽電池の特集で、普及を進める大学教授に話を聞いた。実装までには課題が山積みと苦笑いしながらも、「中国企業が台頭するシリコン太陽電池とは違う、次世代の太陽電池こそ日本の技術力が求められる」と教えてくれた。

 

 どちらも脱炭素化社会の実現に向け日本政府もエネルギー戦略に盛り込む重要な技術だが、社会実装までには長い道のりを歩まねばならない。ホルムズ海峡の封鎖で、既存燃料がいかに大事かも思い知らされる毎日だ。インタビューの終わりに、いまの状況は脱炭素化を進めるうえで逆境ではないかと尋ねたが、どちらの担当者も決して自分たちの進む道を妨げるものではないと前を向いていた。

 

 エネルギーを自分たちでつくり、CO2も減らす。日々マーケットに向き合うなかでは足元ばかり見がちだが、彼らが教えてくれたエネルギーの未来をわたしも見失ってはいけないと感じた。

  

(柏原)

 

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