第371回 (2026年11月4日)
晴れた休日の午後、久しぶりにジェルネイルを施した。秋冬の乾燥に備えた爪の補強を言い訳に、ちょっとしたご褒美だ。
初対面のネイリストは20代半ばくらいの朗らかな女性で、よく喋る。いくつかの世間話のあと、「アメリカとイランの戦争って終わったんですかね?」と、何気なく彼女が言った。興味がそそられ、「なぜそう思ったんですか?」とこちらから振ると、「品切れ続きだったネイルアート用ジェルが、今は普通に買えるんです」とのこと。曰く、今年4月から数カ月間、ネイルサロンでは欠かせないネイルアート用ジェルや、ジェルを除去する際に使うアセトンは軒並み欠品が続き、苦労させられたのだと言う。少ない在庫をやりくりし、知人のサロンと融通し合う状況が続いたのだそうだ。
ネイルアート用ジェルの多くはウレタン樹脂やアクリル樹脂をベースに作られる。アセトンも、ナフサ由来の溶剤だ。春先から初夏にかけてニュースを賑わせたナフサを原料とするため、この不足により流通が滞った。「特にカラーが欠品してしまっていると、キャンセルするお客さんもいました」と、彼女。多彩な色見本から好きな色を選び取るのも、ネイルサロンの醍醐味だからこそだろう。
「戦争が早く終わってほしいですね」と彼女は丁寧にトップコートを塗りながら、世間話ついでに世界平和を口にした。「12月はクリスマスなのでネイルも赤色が流行るんですけど、お客さんによって好きな赤色が全然違うんです。アメリカとイラン、仲良くしてほしいな」。まったく、その通りである。
(栗原)

