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  • 第273回 ~地中海ECAが始まるよ~の巻
    (04/30 12:00)

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    第273回 ~地中海ECAが始まるよ ~の巻(2025年4月30日)

    ねえ、うさりん。5月1日から地中海が新たにECAに指定されるんだけど知ってた?

    へぇ~知らない。そもそもECAって何?

    ECAはEmission Control Areaの略で、日本語だと『排出規制海域』だね。2020年1月以降、一般海域で使用される船舶の燃料油の硫黄分は0.5%以下に制限されているけど、バルト海、北米沿岸のようにECAに指定された海域では、さらに厳しく0.1%以下の燃料を使わないといけないんだ。

    さすがかめりん、詳しいね!

    実はリム情報開発が発行しているクロスビュー重油に書いてあったの・・・

    ECAに指定されると、いったいどんな影響があるんだい?

    船が主機(メインエンジン)で使用する燃料は、硫黄分が0.5%以下の適合油(VLSFO)なんだけど、ECAを航行する際は硫黄分0.1%以下の軽油(LSMGO)を使わないといけないの。

    ふむふむ

    軽油はもともと船内の発電用だから1日1トンも使わないけど、主機で使う場合は数十トンも必要になるの。

    それは大変だ!

    軽油用のタンクは容量が限られているから、いくつかある適合油用のタンクを一部拝借して軽油を入れることになるの。

    どの燃料をどの港でどのくらい補給すれば良いのか、まるでパズルだね・・・

    さらに中東の地政学リスクがパズルを複雑にしているの

    僕の頭ではこれ以上はギブアップ~

    以前はアジアから欧州に向かう船は、スエズ運河を通過して、地中海経由で向かっていたの。ただ、今はイエメンの親イラン組織フーシ派が紅海で船舶に対するミサイル攻撃を行っているから、スエズ運河を通らず、南アフリカの喜望峰回りで航行する船がほとんどなんだ。

    アジアから地中海に向かう船はどうするつもりなんだい?

    喜望峰を回り、大西洋側の地中海の入り口であるジブラルタルで軽油を手配してECAを航行することになりそうなの。

    紅海が安全に運航できるようになるまでは、シンガポールで軽油を積んでいく必要はなさそうだね。

    そうね。ECAを常に航行する船は軽油だけ積めばいいけど、ECA外から入域する船は適合油と軽油をうまく組み合わて積まないといけないから頭が痛いの。

    もっと詳しく知りたいな!

    詳しくはクロスビュー重油25日号に掲載されるみたいだから読んでね!

    宣伝かい!

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    メール info@rim-intelligence.co.jp

    (文:小泉 )
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    ECA(Emission Control Area)で使用が義務付けられている燃料油に含まれる硫黄分の上限値は次のうちどれでしょう

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    (リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)