第278回 ~バイオガスってなに? ~の巻(2025年7月16日)
かめりん、今年の夏休みはどこに行こうか?
今年は大阪に行きましょうよ!万博に行ってみたいわ。
それはいいね!エネルギーに関連する展示もたくさんあると聞いたよ。次世代太陽光電池や、e-メタンの実証プラントが設置されているんだって。万博会場までは水素で動く水素燃料電池船でクルーズもできるみたいだよ!
e-メタンの実証には、万博会場で発生した生ごみを利用して製造したバイオガスが原料の一部に利用されているんですって。
バイオガス?液体や固体のバイオ燃料があるのは知っていたけれど、気体もあるのか。これも燃料として使えるんだね。
バイオガスは、バイオマスを原料に微生物の力を利用して作られたガスのことを指すの。生ごみや下水処理場から出た汚泥、家畜のふん尿を酸素の無い状態で発酵(嫌気性発酵)することによって得られるガスで、主な成分はメタンと二酸化炭素。都市ガスと同じくメタンが含まれているから燃料として利用できて、日本全国でバイオガスを利用した発電設備が運転中なのよ。
生ごみを処理する設備も下水処理場も、どの地域にもあるものだよね。家畜のふん尿も育てる過程で必ず発生してしまうものだし、これらを利用できれば処理のコスト削減になるし、エネルギーの地産地消にもなりそうだ!
バイオガス発電は電気を作るだけじゃなくて、発電で発生する排熱を利用して温水や蒸気を供給できるというメリットもあるわね。ヨーロッパでは熱の利用と合わせて運用されているプラントが多いわ。
日本ではバイオガスを利用して運転している発電設備が2023年度時点で約8.8万kWあるそうだよ。発電設備1基あたりの平均が400~500kWだから、おおよそ200カ所あることになるね。ただ、固体の燃料を使うバイオマス発電設備は500万kW以上あるから、比べると多いとは言えないかな。何かハードルがあるのかしら?
原料を集めて、運ぶだけではなくて、発酵を進めるために細かくしたり水分を調整したり、発電にかかるコストが比較的高いと言われているわね。それに、バイオガスは微生物の力を最大限発揮するために温度や酸素の濃度といった環境を整える必要があるの。何を原料に選ぶか、原料の状態や混合割合によっても発酵の具合や効率に影響が出てしまう難しさもあると思うわ。
なるほど、ぼくたちの毎日の食事みたいだ。何を食べたか、急いで食べたか、そのときの体調によってもおなかの具合が変わるのと一緒だね。微生物も健康が大事なんだ。
2050年には日本で供給される都市ガスの50~90%を合成メタンとバイオガスで賄うという長期の目標があるの。もっと身近なエネルギーになるためにはわたしたち消費者も仕組みを理解して、一緒になって課題をクリアしていかないとね。
よーし!早速、展示を見に行って勉強しよう!
うさりん、夏休みはまだ先よ~!
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(文:柏原 )
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