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    第164回 ~水素で製鉄! ~の巻(2021年1月20日)

    このところ前にも増して脱石炭に関するニュースが増えているね。

    石炭は燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出が特に多いからね。石炭火力発電所の削減はもちろん、電力に次ぐ需要家となる製鉄会社の間でも脱石炭の取組みがあるみたい。石炭を水素(H)で置き換えるとか。

    製鉄で生じるCO2は副原料に使うコークス由来のものが多いからね。

    コークスって石炭を蒸し焼きにして発熱量を高めたものだよね。製鉄会社はなぜコークスを使っているの?

    ひとつは鉄鉱石を溶かすための熱源として、もうひとつは鉄鉱石中の酸素(O)を取り除くためね。コークスの燃焼で生じるガスは製鉄で悪さをする酸素を奪う力があるの。ある物質から酸素を取り除く反応を「還元」というわ。

    還元って理科の授業で習ったやつだ。つまり製鉄では鉄鉱石から奪った酸素とコークス中の炭素(C)が結びつくからCO2が発生するということだよね。

    その通り。で、冒頭の製鉄における水素利用とは、コークスの代わりに水素を使おうということなんだ。水素は熱源になるし、還元もできるから。そもそもCO2が出ない。

    酸素と水素がくっついても水(H2O)になるだけだもんね。

    そうそう。水素利用は製鉄会社が温暖化対策を進めるための切り札で、日本でも官民プロジェクト「COURSE50」が研究している。実証試験で使う水素は石炭の蒸し焼き過程で発生するメタン(CH4)を活用するんだって。

    実用化への課題はあるのかな。

    いくつかあるけど、例えば鉄鉱石を溶かす高炉に水素を入れると、炉内の温度が下がってしまうの。水素は還元反応の際、周りの熱を吸い取る性質があるから。

    となるとコークスの完全置換えは難しいのかな。

    今のところはね。COURSE50もコークスの完全代替ではなく、一部を置き換える方向で研究している。

    製鉄向けのコークス需要は当面残りそうだね。

    日本の製鉄における水素利用の実用化は2030年ごろ、普及は2050年ごろが目標だって。もちろん製鉄会社は長期的に100%水素化の実現を狙っているよ。

    時間はかかりそうだけど、製鉄所の水素利用が進めば水素需要に弾みがつくね。

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    (文:西江 )
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