最新版

  • 第246回 ~LNGの不都合な新説~の巻
    (04/17 12:00)

    バックナンバー

    過去の記事

    第159回 ~海水温度差発電 ~の巻

    (2020年11月4日)

    かめりん、7日は立冬だね。暦の上ではもう冬だ。これから空気がぐっと冷たくなるね。

    そうね。この季節は昼夜の寒暖差が大きく、気温の変化に追いつけずに体調を崩しやすいわ。

    お互いに身体には気を付けよう。ところで温度の格差といえば、海水温の差を利用して発電ができることを知っている?

    それは知らないわ。どういうこと?

    この発電方法は最近できた技術ではなく、100年以上も前の1881年にフランスの物理学者が提案したものなんだ。その物理学者の教え子が、1930年にキューバにプラントを造り、低圧のタービンで22kWの電力を作り出したのが始まりと言われている。

    え~そんなに古い歴史があるのね。

    海水温度差発電は、温度の高い水面と、温度の低い深海の温度差を利用して発電するんだ。水温差が大きいほど発電力が大きくなる。

    どうやって発電するの?

    発電サイクルは3つに分類されるんだ。少し難しいけど紹介するよ。

     1、オープン式は、主に蒸発器、凝縮器、タービン及び発電機で構成される。凝縮器内をあらかじめ真空にしておき、暖かい海水を蒸発器に流し込んで水蒸気を得る。その水蒸気を作動流体としてタービンに送り、発電する。

     2、クロ-ズド式は、閉じ込めたパイプの中にアンモニアや代替フロンを作動流体として流し込む。蒸発器内で高い熱源から熱を拾い、蒸気を発生し発電機を回転させる。一方、凝縮器で低い熱源を捨てる。この作業を繰り返す。

     3、ハイブリッド式は、上記の2つを組み合わせもの。

    ところで海水温度差発電のメリットとデメリットはあるの?

    メリットは、化石燃料を使わないのでクリーンエネルギーということ。天候や昼夜に左右されずに安定した出力が保たれる。一方、デメリットは、深海であるところでしか発電できなかったり、キロワット発電単価が高いことなどが挙げられる。

    深海じゃないと発電ができないのね。いま、日本国内で実用化した発電所はあるのかしら?

    沖縄県海洋深層水研究所は、2013年6月に佐賀大学海洋研究開発チームと共同で、久米島周辺で出力50キロワットの実用実証発電プラントを設置したんだ。ただ、商業化までには至らなかった。

    発電の場所がネックになるのね。

    それが理由の一つだね。それ以外にも、発電効率を上げるためにプラントの素材やメンテナンス作業などでさまざまな課題を解決する必要があるようだよ。

    新しいクリーンエネルギーを商業化するまでには長い時間と、無数の失敗を繰り返さなければならないのね。

    本当だね。いまは限りある資源を大切に使っていくしかないね。

    【お知らせ】
    このコーナーに対するご意見、ご質問は、下記まで
    電話  03-3552-2411
    メール info@rim-intelligence.co.jp

    (文:方 友明 )
    クイズに挑戦してみよう!
    今回の
    「やさしいエネルギー講座」から出題!

    世界初の海水温度差発電プラントはいつ出来た?

    正解と思ったボタンを押してみよう。

    エネルギーの知識をさらに深めたい人は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会の検定に挑戦してみよう!

    https://www.energy-planner.jp

    (リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)