最新版

  • 第246回 ~LNGの不都合な新説~の巻
    (04/17 12:00)

    バックナンバー

    過去の記事

    第182回 ~不正軽油って何だろう ~の巻(2021年10月6日)

    10月は「不正軽油防止強化月間」なんだって。

    不正とは物々しい響きだね。そもそも不正軽油って何のこと?

    軽油に灯油、A重油を混ぜて「軽油」と称して売られているものだよ。灯油、A重油を混合してつくることもある。

    軽油、灯油、A重油は別物との理解なんだけど…。そもそも混ぜたところで軽油になるの?

    別物だけど性状が似ているから、混ぜると「軽油のようなもの」がつくれるんだ。実際にエンジンも動かせる。もちろん品質は粗悪なものが多いし、そもそも違法だから、絶対に手を出すべきじゃないけどね。

    なるほど。違法だから不正なのか。どの辺が法に触れるんだろう。

    簡単にいえば脱税ね。軽油は販売時に「軽油引き取り税」がかかるんだけど、灯油、A重油はかからない。そこで悪知恵の働く輩は灯油、A重油を買ってきて混ぜてしまう。軽油引き取り税を不当に逃れて、軽油のような燃料が得られるからね。

    脱税している分、コストが安いというのがポイントかな。コストが不当に安ければ、正規に課税された軽油では歯が立たないような価格での販売も可能になる。

    そう。だから昔にくらべれば不正軽油の流通は減っているようだけど、なかなか根絶しないんだ。いまでもたまに密造業者の摘発がある。全国の都道府県では取り締まりのため街中のトラックから燃料の抜き打ち検査なんかもしているよ。

    公正な市場競争が阻害されるし、実際に流通したら周りの軽油販売業者の方はたまらないね。ところで不正軽油って品質面ではどうだろう。エンジンへの影響が心配…。

    不具合につながる恐れはもちろん、排気ガス中の粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)が正規の軽油より多いんだって。1割近く多いとの説もある。あと環境汚染という意味では、副産物として発生する「硫酸ピッチ」も問題になる。

    硫酸ピッチ?

    軽油への混入を見た目で分かりやすくする目的で灯油、A重油には「クマリン」という物質が添加されている。ただ、密造業者のなかには摘発逃れのため硫酸などでクマリンを除去するケースがあって、この工程で硫酸ピッチという物質が発生する。過去にはこれがドラム缶などに入った状態で不法に投棄されることもあったんだ。

    中身が漏れたらと思うとゾッとする…。

    だから脱税だけじゃなくて、環境保護の観点からも不正軽油は対策が必要になる。東京都なんかは毎年10月を不正軽油防止強化月間として、対策に取り組んでいるよ。

    なるほどな~。かめりんありがとう!軽油を巡る問題として、心にとめておくよ。

    【お知らせ】
    このコーナーに対するご意見、ご質問は、下記まで
    電話  03-3552-2411
    メール info@rim-intelligence.co.jp

    (文:西江 )
    クイズに挑戦してみよう!
    今回の
    「やさしいエネルギー講座」から出題!

    不正軽油が逃れている税金は?

    正解と思ったボタンを押してみよう。

    エネルギーの知識をさらに深めたい人は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会の検定に挑戦してみよう!

    https://www.energy-planner.jp

    (リム情報開発は、一般社団法人日本エネルギープランナー協会を応援しています)