第279回 ~新たな産油国ガイアナに注目!? ~の巻(2025年8月1日)
ねえ、かめりん。最近ニュースで『ガイアナが産油国になった』って聞いたけど…そもそもガイアナってどこ?アフリカ?
残念だけれど違う。ガイアナは南アメリカの北東部にある国よ。お隣はブラジル、ベネズエラ、スリナムね。カリブ海の近くにあって、人口は約83万人。東京の世田谷区よりちょっと少ないぐらいかな。
えっ、そんな小さな国が『産油国』なの!? 一般的に産油国って、中東とか米国のイメージが強いよね?
うん、そう思っている人は多いけど、最近ガイアナは急速に原油の生産量を伸ばしているの。本格的に生産を始めたのは2019年だけど、2025年現在では1日あたり約70万バレルも生産するようになったのよ。
70万バレル!? …それって、どれくらいなの?
日本全体の原油輸入量が日量235万バレル。だから、ガイアナの原油生産量はここ5年ほどで日本の輸入量の3分の1を超えるほどまで増加しているの。とにかく急成長著しいのよ。
えっ!?そんなに急に?どうして?
理由はひとつ、領海の海底で巨大な油田が見つかったからよ。2020年代前半に発見された海底油田のおかげで、ガイアナは一気に産油国の仲間入りを果たしたの。
でも、そんなに大きな油田を海の底で見つけるって、信じられないね。
これこそ、石油開発技術の進歩の賜物ね。実はこの油田は、米国のエネルギー企業エクソンモービルと、そのパートナー企業が探査して見つけたの。海底深くにある『深海油田』なんだけど、埋蔵量がすごくて、ガイアナの経済を一変させるレベルなの。
これからもガイアナの原油は増えるの?
そうよ。2030年には、日量170万バレルにまで膨らむ見込みなの。現在の倍以上ね。このため、ガイアナは今、世界で最も注目されている産油国のひとつになってるの。
まさに湯水のように出てるんだね。じゃあ、ガイアナはこれからお金持ちになれるの?
可能性は高いわね。でもこれは、開発計画が今後もうまく進めば、という条件があるわね。また、急にお金が入ってきてもうまく使えないと逆に国全体が不安定になることもあるの。
えっ? 原油の収益で国が潤うのに? なぜ?
歴史的にみると、資源が豊富な国でも、政治や経済の仕組みがしっかりしてないと国民全体が豊かにはならないことが多いの。富の再配分が進まず、所得の格差が格差が広がることがあったわ。また、汚職が起きたりすることも多くて、社会全体の成長を阻害していたの。これらは『資源の呪い』とか言われるのよ。
なるほど。じゃあガイアナも、石油の利益をちゃんと使えるようにしないといけないんだね。
そのとおり。原油などの天然資源は、発見から生産および輸出するまでが難しいと同時に、その利益をどのように使うかの判断もとても難しいのよ。
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(文:橋本 )
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