第283回 ~森の中の古い遺跡はなーんだ? 水力発電の歴史 ~の巻(2025年10月1日)
ねえねえ、うさりん、アメリカに旅行に行った友達から、面白い写真が送られてきたの。さて、これは何でしょう?
随分大きなものみたいだね。山奥の廃墟かな?
はずれです。答えは水力発電所の導水管でした! とても古くて、この導水管はなんと木でできいるんですって。まだ現役だそうよ。
現役だなんて、嘘だろう。本当かい? 管から水が噴き出しているよ。相当にボロボロなんじゃない?
これはわざとなのよ。山火事から導水管を守るために水を流していんですって。つまりスプリンクラーね。
そんな古いものがまだ使えるんだね。その技術はすごいね。 どうやって水漏れを防ぐんだろう。松脂とか塗っているのかな?
酒樽と同じ技術で水漏れを防いでいるわ。板に液体を染み込ませて、膨張することによって生まれる圧力で隙間が塞がれるのよ。
なるほど酒樽ね!でも、こんなに巨大なうえ、長期に耐えられるのはびっくりだ!!
世界で初めて水力発電を利用したのは1878年(明治11年)で、イギリスのウィリアム・ジョージ・アームストロングという人と考えられているわ。自宅の明かりのために水力発電機を家から1キロ離れた場所に設置したの。その後、1881年(明治14年)に、かの有名なエジソンが、アメリカのナイアガラの滝近くに水力発電所を建設したのが、世界で最初の発電所よ。
世界で最初の発電所ができてから、もう136年も経っているんだね。
日本での最初の水力発電所は、1888年(明治21年)に紡績工場のために、宮城県仙台市で建設された三居沢発電所よ。紡績工場の役目が終わった後は、東北電力に引き継がれて現在も一部が稼働しているそうよ。こちらも古いわね!この三居沢発電所でも、一部に木製の導水管が使われていたのですって。 さすがに現在使用している水力発電所は、木製部品の耐久性への懸念があるから、鉄製やコンクリート製の導水管に移行されているわ。
木製より、鉄やコンクリートの方が耐性は良いだろうけど、それも錆びたり、腐ったりするから、設備を維持するのって大変だよね。
アメリカもそうだけど、日本でも最近は、古いインフラをどうやって新しいものに交換するが重要な社会問題となっているわね。古いものをずっと使うのは素敵に聞こえるけど、実はメンテナンスする余裕がなくて、そのままにしているだけということもあるわね。そうであれば怖い深刻な問題だわ。
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(文:寺島 )
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