第282回 ~エネルギーの未来には相談が大事? ~の巻(2025年9月16日)
9月だというのにまだまだ暑い日が多いね。
うさりんは毛皮を身にまとっているからなおさらよね。わたしも甲羅で目玉焼きできちゃうぐらいの暑さだわ。
お互い大変だね。地球が温暖化しているのは間違いないと思うけど、最近では石油メジャーのシェルが、9月にオランダでバイオ燃料の製造設備の建設を中止すると決めたとニュースで見たよ。
市場の動向と完工までのコストを評価したうえで、需要や株主利益を考慮し決断したとしていたわね。米国でも大統領が、環境対策への巨額投資を決めたインフレ抑制法(IRA)に盛り込まれた税控除を前倒しで終了すると決めちゃったわね。
まさにちゃぶ台返しだね。
そのとおりよね。その大統領は気候変動対策に懐疑的な立場もとっているけど、IRAの税控除が予想以上のペースで利用されているため、財政負担が増大していることも問題に挙げているようね。
なんでせっかく進めていた脱炭素の計画をやめたりするんだろうね。
例えば、うさりん。ここに2本のボトル入りのミネラルウォーターがあって環境に配慮したのと、今までどおりのものならどっちを選ぶ?
それは、もちろん環境に配慮した方さ。
それじゃあ、もし環境に配慮した方が200円で、そうじゃない方が120円だったら?
えー……、それは悩む。そうじゃない方を買っちゃうかもしれない。
さらに、環境に配慮した方に公的な支援がついて同じ120円だったら?
えーっと、じゃあ環境に配慮した方。
さらにさらに、環境に配慮した方に公的な支援がついているけど、それが私たちから集めたお金で賄われていたら?
まだ続くの? 環境がいい方を選ぶかもしれないけど、お金を徴収されるのも困るし、選べないよ。
会社や国の偉い人にとっても、そこが悩みどころなんだと思うわ。どっちも!と言えればいいけど、未来のために何かをするかだけじゃなく、現在の国民や会社経営のために何をみんなに負担してもらって、今ある選択肢のどれを実現するか決めなければいけないのよね。
ミネラルウォーターならまだいいかもしれないけど、これがエネルギーや電力、世界中で販売する自動車や家電なんかだともっと複雑になるね。環境に配慮した電力が高価なものになってお金持ちしか使えなくなるかも。
そのとおりね。再生可能エネルギーや環境にやさしい方法で作られた素材は二酸化炭素の削減量など貢献度が注目されがちだけれど、そのコストが企業活動や人々の暮らしにどの程度負担になるか、もっと切実な問題になるでしょうね。
そのためには、国や企業、僕たちとの間でルールや、生活への負担について、もっと話合って決める必要があるね。
そのとおりね。
ちょっと冷たいものでも食べながら、まずは僕たちが未来のことを相談しに行かない?
うさりんそれは単なるおやつじゃ……。悩める未来よりも、現在の食欲のほうが大事そうね。
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(文:北村 )
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