第280回 ~苦肉の策の代替燃料 ~の巻(2025年8月18日)
うさりん、今年は第二次世界大戦が終結して80年の節目の年になるわね。
そうだね、かめりん。戦時中、日本では米国などから石油の輸入ができなくなったんだよね
うん。軍事膨張を続ける日本に対する経済制裁、いわゆるABCD包囲陣が敷かれ、当時日本の最大の石油輸入元である米国は石油を禁輸したの。
たしか、戦時中は石油の代わりに木炭で走る車があったんじゃなかったっけ?
そうよ。軍事用として石油を使うために、政府は国民が使うガソリン消費を抑制しようとしたの。その一環として現れたのが、木炭自動車ね!
木炭などを加熱して、ガスの力でエンジンを動かす仕組みだよね。でも飛行機、船を動かすのに木炭を使うわけにはいかないよね。
でも戦況が厳しくなるにつれ、政府は戦闘で使う飛行機などにも代替燃料を使おうと計画するわ。代替燃料の1つが松の根から油を抽出した、松根油(ショウコンユ)というものよ。これを航空機用ガソリンとして使おうとしたの!
ええ、松から油が?!でも松脂、とかいうもんね。取れないこともないのか。
そうなの。松の根から取れる油はオクタン価が高いから、航空機用ガソリンに使えると踏んだのね。子どもたちを動員して、松の根っこを掘り出し産油量を増やしたらしいわ。
そこから取れた松根油、使えたのかなあ?
いいえ、試験的に松根油を給油した飛行機が、墜落事故を起こすこともあったみたい。時間が経つと粘度が高くなってフィルターを詰まらせることもあって、とても実用できる代物ではなかったようよ。
怖いなあ。
本当よね。兵器の動力源としては石油に頼らざるを得ない状況下で、苦肉の策で生み出されてきた代替燃料だけど、やっぱり石油の代わりになるのは難しかったの
もう二度とそんな状況に陥らないように、僕たちも頑張らなきゃね!
そうね!
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(文:原 )
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