第285回 ~どう違う電力先物 ~の巻(2025年11月4日)
資産運用の一環として電力の先物取引に関心があるのだけど、どうやったら取引ができるのか知らない?円安で電気代も高くなりそうだし。
残念ながら東京商品取引所(TOCOM)の電力先物取引は個人投資家はできないのよ。業務規程で個人は参加できないの。しかも実際は取引所で一応成約したことになっているけど、ほとんどは法人同士が取引所外の相対で約定しているの。事実上、個人の参加は非常に難しいわ。
いきなり混乱しちゃうよ。そもそも上場していてなぜ相対で約定して、取引所で成約したことになるの?
そうよね。通常の商品先物なら、先物会社を通じて取引所に売買注文を出して、価格が合えば約定になるけど、電力先物はかなり特殊なのよ。法人間の取引が多いせいか、取引所に直接注文はほとんど出ないのよ。代わりに電力会社は電力ブローカーに注文を出し、電力ブローカーが取引所外で法人間の売買をつないでいるの。いわゆるOTC(店頭)取引ないしブロックトレードってやつよ。ただ、これだと取引の相手方の信用リスクがあるので、取引所の清算(決済・保証)サービスを使って代金の支払いを確実にしたいニーズがあるの。だから電力ブローカーが、売買をつないだ後、取引所取引に置き換えて、取引所の清算を利用できるようにしているの。だから一応、取引所で成約になっているわ。
へー。そうなの。でもまだ疑問がある。そもそもベースロードと日中ロードって?何で電力先物は2つあるの?
そこも特殊なの。通常の商品は需要と供給曲線が1本ずつあって交差点で価格が決まるのだけど、電力の場合、夜間など需要が少ない時間帯と、需要が多い日中で差が大きいので、需要曲線は夜間と日中でそれぞれ別物と考えるの。夜間の需要と供給曲線、昼間の需要と供給曲線がそれぞれ交わるので、2つ市場がいるのよ。
なるほどね。最後に違和感があるのが価格。原油や金なら、期近限月で相場の傾向わかるけど、電力はどの時点の価格をみればいいの?
電力はまた特殊で、先物の中心限月はないのよ。ほかの商品なら現物に近く取引が活発な期近が中心限月になって、そこから保管代などを加味して期先の価格も決まるけど、電力の場合は保管できないので、期近と期先との関係が希薄なのよ。
特殊性はわかったよ。でもさ電力先物の相場の動きどうやってわかるの?
ひとついいアイデアがあるわよ。リムの電力リポートよ。TOCOMと欧州エネルギー取引所(EEX)の情報が詳細に載っている2本立てよ。
そいつはいいね!
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(文:山本 )
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