第288回 ~待てば海路の日和あり!? ~の巻(2025年12月16日)
イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦に合意したね。
まだ攻撃は続いていて、停戦は第1段階に過ぎないけど少しでも和平に近づくといいよね。
海の世界でもイエメンの親イラン武装組織フーシ派が商船への攻撃をやめることを発表したのよ。
前にもその話題になったね。スエズ運河を通れず、多くの船が喜望峰周りの航路をとっているという話でしょ。やっと通航を再開できれば、国際貿易も活発になってみんな喜ぶね。
ところがそう単純な話じゃないのよ…
えっ!?
まだ紅海の情勢は不安定でしょ。ソマリア沖アデン湾では海賊問題も再燃しているし、紅海は危険が伴うことに変わりはないの。
確かに…
海運会社の中でも海務担当者を中心にしたしっかりとした議論がいるわ。それに自社保有船でなくて傭船している場合は船主との調整も必要になるし、ハイリスクエリアは保険料も高くなるの。
海運会社だけですぐに再開を決定できる問題ではないんだね。
それに喜望峰周りは、航海日数が伸びて船腹の供給量を吸収する効果もあるの。簡単にいうと、遠回りを強いられることで必要な船の量が増えるということね。だから海運市況を下支えしている面もあって、海運会社にとって喜望峰周りはプラスの効果も少なくないのよ。
へえ。なんだか意外だけど、海運市況は変動幅が大きいから、遠回りしたくなる気持ちも分かる気がする。
欧州の海運会社の中にはスエズ運河の通航を再開する動きもあるの。荷主からの要望によっては邦船社もいずれは通航を再開する可能性はあるわ。でも安全運航が第一だし、難しい決断になることは間違いないわね。
船が使う燃料、舶用燃料への影響はどうなのかな?
航海距離が伸びれば、当然必要な燃料消費量も増えるでしょ。紅海ルートが再開されれば、バンカー需要も減少することが予想されるわ。特にインド洋に向かう前の最後の補油地になるシンガポールでは大きな影響が出るかもしれないわね。
うーん。シンガポールは今でも重油は在庫が余剰気味なんでしょ。
そうなの。さらなる需要の下押し材料になりかねないということよ。この問題は重油と海運、どちらの市況にも影響しそうね。
確かに。いずれにしても平和な海が一番だね。
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(文:年縄 )
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