第293回 ~26年度から本格稼働、GX-ETSってなんだ? ~の巻(2026年3月2日)
かめりん、GX-ETSって知っているかい?
ええ。2026年度からいよいよ義務化が始まるのよね。
英語だと難しいな~。GXというのは最近よく聞くよね。脱炭素と経済成長の両方を目指す大転換!という意味だって聞いたことがあるけれど。
『転換』を英語でトランスフォーメーションというんだけど、Transの部分をXと略す習慣があるから、脱炭素をイメージさせるグリーンの頭文字と合わせてGXと表すのね。
じゃあETSも何かの略なのかな?新しい交通システム?
ETSはずばり、日本版の排出量取引制度のことよ。Emmisions Trading Systemの頭文字を取っているの。日本の新しいカーボンプライシング制度がいよいよ始動ってわけね。
カーボンプライシング?カーボンに価格を付けるってどういうこと?
CO2の排出に対する価格(コスト)を付ける仕組みのことよ。CO2を排出するとお金がかかって、減らすと得をするという経済のルールを社会に組み込むためのものね。
これまでは費用が掛からなかったCO2の排出を見える化して、排出した企業がコストを負担するという考え方だね。
それと、CO2の排出にコストが掛からないままでは、環境負荷の少ない製品を作ろうとしても既存の製品に比べて割高になってしまうわよね。環境負荷を抑えた製品が価格競争力を得るためにも必要な取り組みね。
なるほど。そのために必要なのがカーボンプライシングだね。
カーボンプライシングには主に2つのやり方があって、ひとつは政府が価格を決める『炭素税』。1トンのCO2あたり幾らという税金をかける方法ね。排出量が多い企業ほど税負担が増えることになるわ。ふたつめが政府が排出量を決める、『排出量取引』。
生産活動でCO2は出てしまうものだけど・・排出量って取引きできるのかしら。
政府が企業ごとのCO2の排出量に上限(キャップ)を決めて、その範囲内で排出量の枠(クレジット)を売買する制度を指すの。排出量を減らした企業は余った枠を売る、逆に増えた企業は上限を超えた分の枠を買う必要がある。
CO2の排出を削減すれば経済的なインセンティブが得られる、という仕組みだね。いいじゃないか!
ただし、GX-ETSを通じてクレジットで超過分をオフセット(相殺)できるのは実排出量の10%まで。あくまで自社の排出削減を優先するという仕組みなのには注意が必要ね。
26年4月から企業は何をすればいいんだろう?
まず対象になるのはエネルギー多消費産業、と呼ばれるCO2排出の多い企業なの。具体的には、年間の直接排出量が10万トン以上の企業が当てはまるわね。
ふむふむ。ざっと調べると、日本国内には300社とか400社あるみたいだよ。
対象企業は26年度にCO2排出量がどれくらいか算定・報告したり、第三者による検証を受ける必要があるわ。それから、生産量のデータや排出量をいかに削減していくかの計画の提出も必要ね。
26年度にいきなり排出枠の取引を始めるわけではなくて、枠を設定するために必要なデータを取る年ということかな。
そういうことね。検証期間っていう位置づけかしら。
いずれにしても、脱炭素化と経済活動を両立するための重要な制度の土台作りが始まるんだ。なんだかわくわくするな。
GXを実現するために、どのように制度が立ち上がって、世界から見ても遅れにつながらないか、私たち一人ひとりも関心を持ってみていかないとね!
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(文:柏原 )
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