第302回 ~凪状態の代替燃料船 ~の巻(2026年7月16日)
最近、電気自動車の販売が苦戦してるみたいだね。
うん、補助金の終了や充電インフラの不足などが原因といわれているわね。
ただでさえ車の価格が上がってるのに、一般家庭がさらに高い電気自動車を買おうとはならないかも。いくら環境に良かったとしても…
環境のために高い費用を払うことが難しいのは、一般家庭だけの話じゃないわ。海運会社でも同じことが起きているの。
船は重油で走るんでしょ。これからの船も電気で走るのかな?
確かにエンジンを持たず、電池などで動く電気推進船は登場しているわ。でも、現在のバッテリー技術では長距離航海が難しいの。だから世界の海を航海する外航船では、重油以外のクリーン燃料でエンジンを動かす研究開発が進んでいるわ。
ふむふむ。重油以外にはどんな燃料があるのかな?
代表的なのがLNG燃料ね。重油よりもCO2排出量を約20%削減できるの。貨物としてLNGを積載するLNG輸送船では昔から燃料として使われていたし、最近ではコンテナ船や自動車船でも重油ではなく、LNG燃料のエンジンを搭載した船が続々と普及しているわ。
うーん、20%か…
なによその反応は! その20%を削減するのに技術的にもコスト的にも大変な苦労があって船員にも特別な訓練が…
うわっ、わかったわかった!
日本政府も、国際海運業界も「2050年のネットゼロエミッション」を目標にしているの。確かに20%では到底足りないわね。
なにか良い方法はあるの?
アンモニアや水素など燃焼してもCO2を一切排出しない燃料を使える船や、エンジンの研究開発も進んでいるの。
大変そうだね。まさに「未来の船」って感じ。
アンモニア燃料を使うことができる船はすでに就航しているわ。東京湾で就航している「魁」は世界初のアンモニアを燃料とする商用船と言われているの。もちろん、アンモニアの毒性や燃えにくさなどの技術的なハードルはあるけど、それ以上にコスト面が大きな課題となっているかも。
電気自動車と似ているね。
そうかもしれない。ノルウェーの第三者機関であるDNVによると、2025年の代替燃料船の発注隻数は前年比47%減の275隻だったわ。もちろん、新造船の発注量自体が大きく減ったから一概には比べられないけど、先行きの不透明感で業界全体が環境のために追加費用を払うことに慎重になっているのは間違いないわね。特に、昨年10月に国際海運業界の「2050年のネットゼロエミッション」に向けた方策の採択が延期になったことは、投資を鈍らせるのに十分な理由ね。
リスクを負う時期じゃないから先延ばしになってしまうってことだね。夏休みの宿題は早めにやった方がいいと思うな。
その宿題をやるにはお金がかかるし、国際政治の動き一つで落第にされる可能性もあるのよ。うさりんなら手をつけたい?
うーん、絶対いやだな。8月31日までに宿題がなくなれば良いと思ってしまうかも…
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(文:年縄 )
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