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第50回 ~環境問題で日本が批判されている!の巻 (2013年11月29日)

ポーランドのワルシャワで11月11日~22日まで、環境問題に関する国際会議が開かれていたわね。

石原環境大臣が、「日本は目標達成した」って宣言してたよね。

でもいまいち、歓迎されなかったというか、むしろ日本が批判されてた気がするけど。

そうだね、今回、日本が達成できたのは、京都議定書にもとづく約束で、2012年度までの達成目標だったんだ。

どういう目標だったの?

温室効果ガスの排出量を、1990年度と比べて6%削減するというものだったんだよ。

温室効果ガスって、二酸化炭素のこと?

おおまかにいうとそうだけど、他にメタンなんかも温室効果ガスの一つなんだ。

そもそも京都議定書っていつ決まったの?

今回開かれていたのは、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で締結された「気候変動枠組条約」を締結した国の会合なんだ。

ずいぶん前から続いているのね。

この会議は、英語のConference of the Parties(締結国会議)の頭文字であるCOPに回数をつけて呼ばれるんだ。今回は19回目だったから通称COP19だね。

京都議定書もCOPの会議で決まったの?

そうだよ。1997年のCOP3の時に決まったんだ。このときの会議は、国立京都国際会館で開かれたんだよ。

今回、石原大臣が「達成できた」って言ってたのは、京都議定書で約束したことなのね。いいことなのに、どうして批判されるの?

今日本が批判されているのは、COP19で表明した今後の温室効果ガスの削減目標についてなんだ。

どんな目標なの?

次の目標は、2020年までに2005年と比べて、3.8%削減するというものなんだ。今回達成したのが6%減で、次が3.8%減だから、だいぶ少なくなったよね。

確かにそうね。

さらにこの目標のポイントは、2005年を基準にしているところなんだ。もう19回も締約国会議を開いているのに、1990年に比べて、2005年の方が温室効果ガスの排出は増えているんだ。

そうなんだ。

だから目標の数値も3.8%と小さくなるうえに、基準となる年の排出量も多くなるから、2012年までの目標と比べると甘くなる印象は拭えないよね。

それで、海外から批判を浴びているのね。

さらに、2005年に当時の鳩山首相が、2020年までに1990年から25%削減するという発言をしていたから、今回は日本が、環境を軽視していると言われても仕方ない状況なんだ。

どうしてそんなに高い目標を約束したの?

当時、鳩山首相は、「不十分であっても力強い目標を」と述べている。必ず達成できる目標というより、野心的な目標を掲げて議論を深めようとしていたんだ。

でも環境先進国といわれる日本が温室効果ガスを削減するより、途上国の古い設備を更新したりした方が、簡単だし、コストもかからないんじゃない?

環境問題の話になるとどうしても、先進国vs途上国、環境vs経済発展という構図になってしまうんだ。途上国の古い設備を更新したり、先進国なら火力発電を減らして原発を増やしたりすることは効果的ではあるよね。でもいま、日本では温室効果ガスの排出量が少ないから原発を増やせとはなかなか言えないよね。

確かに、原発の事故を見てしまうと、環境だけを考えればいいというものでもないわね。

環境問題は、何世代も先の子孫のための議論でもあるんだけど、やっぱり今の社会情勢に左右されるんだよ。

環境問題って難しいわね。

そうだね。いま環境を考えずに火力発電の割合を増やしていたら、いつか気候変動で作物が育たなくなるなんて可能性もあるからね。

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(文:LNGチーム 深水)
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