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第80回 アンモニアをエネルギー利用? ~の巻(2017年9月13日)

リミー、最近アンモニアが発電用燃料として注目され始めているって知っていた?

知らなかったわ!どうしてそんなものが?

日本政府が2030年度までに、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを2013年度比で26%削減する目標を掲げているのは知っているよね? アンモニアは水素(H)と窒素(N)からできているから燃やしても地球温暖化の原因になるCO2を出さない。火力発電所で使う燃料に混ぜて使うことで、CO2の排出を抑えることができるんだ。だから注目されているんだよ。

そんな使い道があったのね!

それだけじゃないんだ。アンモニア中に含まれる水素を利用した燃料電池の開発も進められている。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が今年7月にアンモニアを直接燃料とした燃料電池で世界最大規模(1kWクラス)の発電に成功したと発表した。

燃料電池って水素を使うのが一般的だと思っていたけど、アンモニアを直接燃料にするとどんなメリットがあるのかしら?

アンモニアは、摂氏マイナス253度まで冷やさないと液体にならない水素よりも沸点が高く、液体にしやすいんだ。保存、運搬に適しているから、エネルギー消費地で水素やエネルギーを取り出すことができる。分散型電源としての利用が期待されているんだ。

それはすごいわね!ところでアンモニアってそもそも何に使われているのかしら?

2012年の世界のアンモニア生産量1億6,500万トンのうち、およそ8割が化学肥料の原料として使われている。世界の食糧生産にとって欠かすことのできない重要なものなんだよ。

とすると、すでに国際商品として世界中で取引されているのね。

化学肥料としての流通市場が発達しているので、流通コストが水素より低く抑えられることも燃料電池用として注目されている理由の1つなんだ。

これからどんどんエネルギー利用されていきそうね。

そうだね。だけど問題もある。アンモニアのエネルギー利用が活発化すると、化学肥料としての供給が減少し、化学肥料の価格が上がってしまうことが考えられる。世界の食糧生産によくない影響が及ぶおそれがあるんだよ。

それは大変!エネルギーと化学肥料の両方の需給バランスを考えていかなければいけないわけね。

そうなんだ。ご、ごめん、リミー!さっきからトイレを我慢していたんだ!続きはまた今度!

このコーナーに対するご意見、ご質問は、リムゾー&リミーまで
電話 03-3552-2411
メール rimzo@rim-intelligence.co.jp

(文:須藤 )
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