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第51回 ~北米からのLNG輸入がいよいよ目前の巻 (2013年12月6日)

最近、「カナダから日本への液化天然ガス(LNG)輸出が2016年にも開始」っていう記事を見たよ。

そうね。ちょっと意外かもしれないけれど、いまはカナダや米国から日本へのLNG輸出は認められていないのよ。国内のガス供給確保などが理由のようだわ。だけれど、世界一のLNG輸入国である日本は、これまで欧米に比べて高値でLNGを購入することが多かったから、売り手としても、有望な市場として魅力が高まってきているのね。

ということは、輸出が始まるのは、売り手側の要望が強いってこと?

そうとばかりも言えないわ。日本にとっても、調達先が増えるのはいいことなのよ。

調達先が増えるとどんないいことがあるんだ?

日本はいま、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)などの中東諸国、マレーシアやインドネシアなどの東南アジア地域、オーストラリアといった国々から輸入しているの(2012年度の主な輸入元は以下の通り、金額ベース)。たとえば、中東地域で紛争が起こった場合、必要な数量を調達できなくなる可能性があるでしょ。そんなとき、カナダやアメリカからも輸入ができれば安心できるわ。


なるほど~。お小遣いを使っちゃったとき、お金を貸してくれる人がたくさんいれば助かるのと同じだね。

う~ん。お兄ちゃんの言ってることと同じかどうかわからないけれど。。。あと、輸出国同士の売込み競争が激しくなれば、買い手としては割安に調達できる可能性も出てくるわね。2011年の東日本大震災以降、日本は発電用としてLNGの調達数量を増やしているでしょ。だから、少しでも安くLNGを買うことは大切だわ。

そういえば、カナダや米国では、「シェールガス革命」のおかげで、天然ガス価格がとても安いって聞いたことがあるぞ。運んだりする手間を考えても、日本はいまより安くLNGを変えるようになるかも、って。それにしても、これまでカナダや米国といった北米の国々から輸入していないのが不思議なくらいだよね。今後、実際に北米からLNGが日本にやってくれば、エネルギー業界にも大きな変化が起きそうだね。

既にそれに備えた動きは本格化しているわ。将来に向けて、日本企業は北米のいろいろなLNGプロジェクトに積極的な投資を始めているの。たとえば、大手商社の三菱商事は、LNGカナダ(カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州)とかキャメロンLNG(米・ルイジアナ州)と呼ばれるプロジェクトに出資しているのよ。2017~2018年にかけて、こうしたプロジェクトから日本向けの輸出が本格的に始まるとみられているわ。北米西海岸から船積みすると、一週間ほどで日本に到着するというから、地理的にも有利と言えそうね。

やっぱり商社は目のつけどころが違うね!

活発に動いているのは商社だけではないわ。元売り大手の出光興産は、カナダのアルタガスと一緒に、年産200万トン規模の液化設備をブリティッシュ・コロンビア州に建設し、早ければ2017年にLNG輸出を始める予定にしているの。

へ~、石油会社もLNGビジネスに注目しているんだな。

そうよ。元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーも、青森県八戸市や北海道釧路市でLNGターミナルを建設していて、いずれも2015年から稼働を始める予定よ。

なるほど。なんだかエネルギーの主役が石油からLNGに変わりつつあるようにも感じるなあ。今後も、北米からの輸出が見込まれる2016~17年に向けて、多くのLNG関連ビジネスが動いていきそうだね。日々のニュースに注目しなくちゃ。
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