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第125回 ~ホルムズ海峡でのタンカー攻撃事件と石油の関係って? ~の巻(2019年7月3日)

うさりん。先日、中東のホルムズ海峡付近でタンカー2隻が襲撃された事件は、知ってるよね?

もちろんさ。そのうちの1隻は、日本の海運会社「国華産業」が運航するケミカルタンカー「KOKUKA(コクカ) COURAGEOUS(カレイジャス)」だった。同社によると、乗組員が飛来物を確認したとか、欧米のメディアによると船体に爆発物が吸着していたとか、いくつも異なる情報が錯綜しているね。

そう、米国はイラン側の犯行と糾弾し、イラン革命防衛隊の関与を示す証拠と主張する映像などを公表しているね。それに対し、イラン政府は一連の発表を米国Bチームによる策略だと関与を一切否定している。

一体、誰の仕業なんだろう・・・

関与が疑われる存在は他にもあるよ。イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派系武装組織フーシ派、米国にイランを攻撃させたいサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の連合勢力、そのほかテロ組織など。

難しくなってきた・・・

そうね、これ以上は高度な政治問題になるから、ここでは言及を避けるけれど、このホルムズ海峡での地政学リスクの高まりは、世界の石油の安定供給に多大な影響を及ぼす可能性があるの。

ホルムズ?名探偵かな?

それはホームズね。。。ところでホルムズ海峡は、中東にある海峡で、中東湾岸諸国から日量約1,700万バレルの石油、年間8,000万トン以上の液化天然ガス(LNG)を輸送する、世界のエネルギー輸送における最重要搬出路の一つなんだ。

へぇ、世界経済にとってとても重要な地域なんだね。

それに、日本向けタンカーの約8割に相当する年間約3,400隻が、この海峡を航行しているよ。

じゃあ名探偵ホームズがだめになったら、日本は大変なことになるね!

・・・日本だけでなく世界の石油をはじめとするエネルギー供給に対する重大な懸念事項になるわね。

原油価格の高騰の犯人は、今回の襲撃事件だ!ってことかな?

実際にタンカー襲撃事件の直後、13日のニューヨーク原油先物市場では、指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の7月渡しが一時、前日に比べて4%超の大幅上昇となったよ。その後、原油相場は落ち着いているけどね。

そうなんだ。名探偵もお手上げだね!

中東情勢が緊迫化すると、原油相場は高騰するから、特にイランと米国を巡る対立を中心に、中東の地政学リスクについては注視していく必要がありそうね。

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(文:横井 )
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